Red sugar

山と写真とカメラが趣味の人にお勧めな登山ブログ、全国の山の登山情報と山岳写真情報を書いています

【北アルプス】乗鞍岳、真冬のアルプスは極限の世界、白銀の頂輝く乗鞍岳日帰り登山の旅

2018_03_24_乗鞍岳

2018年3月24日、北アルプスにある乗鞍岳に行って来ました。

標高は3,026m、3月は残雪シーズンではありますが、3,000m級の山はまだ真冬。

厳冬期である2月のような厳しい寒さはないけれども、

昇温による雪崩のリスクなどが肥大し歩くには非常に神経を使う時期でもあります。

 

今回は奥さんが実家に帰って家に一人、自由な休日に全てをかける男の旅。

長野県で野宿して乗鞍岳と木曽駒ヶ岳、2つの雪山を歩きます。

 

冬の乗鞍岳は僕のような【歩き専門】タイプの登山者が行ける最高難易度の山。

真冬の標高3,000mの景色に心を踊らせる旅の始まりです。

 

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乗鞍岳雪山登山に関して

乗鞍岳は夏であれば山頂までバスが出ており、

もっとも手軽に歩ける3,000m峰として多くの方に親しまれていることでしょう。

冬に乗鞍岳を昇る場合は休暇村のスキー場から登山開始となります。

休暇村の標高は1,600m付近なので、標高差およそ1,400mのスパルタ登山となるわけです。

しかも、冬はアイゼン装備なので夏山よりもかなり疲れるのが特徴です……。

 

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山頂付近の景色は【極地みたい】の一言につきます、正直景色がかなり怖い!!

乗鞍岳の巨大な山頂、白と青だけの世界、吹き付ける強風、スケールの大きい幸の斜面。

 

乗鞍岳はかなり巨大な山体を持っており、普通に眺めて歩くとスケール感が崩壊します。

超巨大建造物を見たときの倒錯感といったものを感じれるかと……。

 

雪山経験の少ない素人や初心者がたどり着ける場所ではないのですが、

冬の赤岳や日光白根山等に登れれば、この山も歩けるのではないでしょうか?

それではいってみましょう、鬼の居ぬ間に登る乗鞍冬の旅の始まりです。

 

 

1.冬の乗鞍岳登山について

乗鞍岳へのアクセス

冬の乗鞍岳へのアクセスはマイカー推奨です、宿泊なら休暇村の送迎バスが使えます。

東京からアクセスする場合は中央道をひた走り、休暇村乗鞍高原を目指すのみです。

ナビは【休暇村乗鞍高原】へ打つようにしましょう。

 

乗鞍岳のコースタイム

休暇村7:15→スキー場トップ9:05→肩の小屋口10:00→肩の小屋10:30→朝日岳山頂11:20→

乗鞍岳山頂11:50-12:30→スキー場トップ13:50→休暇村15:00

合計登山時間 7時間45分 時間よりもだいぶ長く感じる山でした……

乗鞍の冬は地図にないところを歩くので標準的なコースタイム感覚だと9時間は

かかることを覚悟して歩いた方がいいと思います。

 

この登山で使ったお金

朝食(1日目)      1,200円

交通費(埼玉→長野)  2,870円

行動食と水       1,000円

バッジ乗鞍岳      500円

温泉(乗鞍岳)     720円

夕食          950円

信州健康ランド宿泊費  3,420円

朝食(2日目)      580円

交通費(塩尻→木曽駒) 1,180円

駒ヶ根駐車代      600円

ロープウェイ料金    3,900円

ガソリン代       5,600円

温泉(木曽駒ケ岳)   560円

バッジ木曽駒ケ岳    500円

交通費(木曽駒→埼玉) 4,820円

2日間での合計出費 28,400円 健康ランドが思ったよりも高かった。

1日目の出費 10,660円 / 2日目の出費 17,740円

 

この登山で使用したカメラとレンズ

NIKON D850+AF-S NIKKOR 28mmf1.4E

NIKON D850+AF-S NIKKOR 20mmf1.8

2018_03_24_乗鞍岳 | Flickr

 

2.冬の乗鞍岳、たどり着くまでが試練の道

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2018年3月24日4時15分、横川SA。

上信越道からお早うございます、3月24日、Redsugarでございます……。

本日はお日柄もよく晴れる予定で、なんと家に一人!!!

独身男性と同じステージにたつことができましたので、羽を広げて登山にいこうと思います。

これが俺の本気、独身であれば休日北海道でも沖縄でも行ってやるの心意気です。

 

という訳で今回は乗鞍岳、同行者は登山百景さんとなります、

合流のためまずは長野市へ向かいます、埼玉から長野に行くなら上信越道がベター。

 

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まずは朝食です、最近早朝にお米が食べれなくなってきました。

SAで食べるのは麺ばかり、これも加齢でしょうか、

まだ30代前半だというのにこの胃腸の弱り具合、先が思いやられます。

 

ちびまる子ちゃんの山根君みたいにはなりたくないよね。

 

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午前6時00分、百景氏と合流し乗鞍岳へ。

長野市で百景氏の真っ赤なエクストレイルに乗り換えた僕は乗鞍岳へ一直線、

助手席でうたた寝していました長野県は山が近くていいねぇ……。

 

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長野県はどこを向いても山があるわけで、住む場所によって推しの山が変わりそうですね。

僕の住んでた北海道十勝エリアだと日高山脈がよく見えて、

十勝幌尻岳が特に印象に残っている。

あと大雪山方面には東大雪のウペペサンケ山が見えていたっけ……。

(北海道も山岳パラダイスなんだぞというアピールを欠かさず行っていきたい。)

 

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うつらうつらしていると日が出てきました、山の頂から太陽が見えるなんて素敵。

埼玉とかだと家から太陽出てくるからね。

 

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毎回思いますが、アルプスはやっぱり遠い。

東京から向かうにはやや疲れます、福島県の山にいくほうが楽に感じる。

そして中央道の高速料金が非常に高いのが悩ましい。

 

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午前7時00分、乗鞍岳休暇村到着。

駐車場から即スキー場な乗鞍岳です、冬の間はここまで。

道路は夏道状態でしたが凍結箇所もあったので

くれぐれもノーマルタイヤで来るとかはやめましょう、滑ると後続の車に迷惑だからね。

 

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早朝からお疲れ様です……。

朝からゾンビのごとく湧いてくる登山客とスキー客を誘導する警備のおっちゃんすげぇ。

 

3.ただひたすらに真っ白な道を進む乗鞍の道

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午前7時25分、乗鞍岳雪山登山スタート。

準備を整えて早速登山開始です。

最初はスキー場を登るという事で、ノーアイゼンでしばらく進むことにしました。

この日は快晴という事で休暇村付近は暑いくらいの気温。

 

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本日の乗鞍岳登山は標高差およそ1,400m、行動時間9時間予定のハードな登山です。

「あんなのだ白いだけじゃん」という人もいますが、冬の乗鞍岳山頂からみる景色は格別。

そして冬の乗鞍岳山頂は極地のような雰囲気があり神秘的なのです。

 

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リフトやレストハウスはまだ営業前、登山者が列をなして登って行きます。

 

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最初の難関はこちらでしょうか。

スキー場の巨大な斜面はなかなかの角度……。

最初にみたとき「え、マジで?これ登るんですか?」と目を丸くしました。

 

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雪だるまも苦笑いしてるわ……。

 

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それじゃあいってきます。

 

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僕が雪だるまを撮影している隙にぐんぐん登る百景おじさん、慈悲がない。

ただでさえ歩くの早いんだから置いていかないで……。

アイゼンなしでこの斜面をガンガン登る長野県民に戦慄を覚える。

 

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登るだけで結構体力を使う斜面です、前半戦の7割りの体力はここで失われる!

 

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空が霞んでいるのか太陽の光がぼんやりとしています、

空気がスッキリしない感じであんまり好きじゃない、時期的には春霞って事なんでしょう。

 

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午前8時5分、スキー場終点。

この看板から先はスキー場の管理エリア外になります、

ハイキングツアーのコースが位ヶ原山荘手前まであるので、そちらを利用して乗鞍岳に向かう。

 

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圧雪はなくなり新雪の上を歩く雪山登山がスタート。

先行者のトレースが豊富なので歩くのは比較的楽。


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何よりも前を歩く百景氏が心強い、この人俺が20代前半の頃よりも体力ある……。

2000ccのsuvクラスの馬力のある方なので便りになる、人間エクストレイルですよ。

 

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徐々に人影も減ってきますがこの辺はコースが明瞭で歩きやすい。

 

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乗鞍岳本体が見えてきました、かなり距離があるのですが、このサイズ。

「スゲーでかいぞアイツ……」

あれはいわゆる富士山と同じで山頂が見えていても一向に近づかないやつです。

 

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午前9時5分、位ヶ原山荘分岐。

さて、準備運動はここで終わりです。

ここからようやく登山スタート、本格的な登山道に入ります。

ここから先は雪もぎゅっと締まってくるのでアイゼンを装着して歩きます。

 

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真っ白な雪原をひたすら登る、好きなところを歩けるんじゃないかと思うけど

膝くらいまでズボォッ!!と踏み抜くのでおとなしくトレースを歩きましょう。

 

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スノーシュー組の方々のトレースをいただきます、わかん有るけど今日はいいや。

 

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低木が雪の下に埋まり、辺りは一面雪景色です。

こういう場合ホワイトバランスがよくわかんなくなったり露出が大変なことになります。

僕はマニュアルモードでアンダー目に目盛りが触れるくらいが丁度いい

という体感でD850を使っています。

 

「つまり何となくのニュアンス、フィーリング、そこにあるのは愛」

 

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三年目くらいになるこのアイゼン、頑丈で気に入っています、

次もモンベルのアイゼンを購入しそう。

 

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ひたすら白銀の景色が続く、サングラスがないと目が焼けて歩行不可能になりそう。

ただでさえ日射しが強いのに、雪面の反射で三倍界王拳位の紫外線量を浴びています。

こんな状況では日焼け止めも役に立ってんのかよくわかりません。


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隊列を撮影するために列から離れたりしてみる、

新雪の上は地獄のような歩きにくさで踏み抜きばかり……。

スケール感がいまいちピンと来ない景色が撮れます。

 

奥の乗鞍岳ですがまだここから二時間近く歩かないとたどり着けません。

富士山に上った事がある人ならわかるでしょうが、永遠に山頂にたどり着けないあの状況です。

 

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単調な景色のなかにも清涼剤が現れます、北アルプスです。

北をみれば北アルプスの山々が何となく見えます、

霞沢岳とかあの辺かな?と話ながら登って行く。

 

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「ただ白いだけじゃん(ただ白いだけじゃん、ただ白いだけじゃん……)」

エコーがかかったように知り合いにかけられた言葉が頭を駆け巡ります。

そう、強がってはいたがここはただ白いだけの山だ、騙して悪かったな!

 

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広すぎて歩けど歩けど景色が変わりません。

これは山好きとそうでない人を振り分けるいいリトマス試験紙だとも言える。

僕と百景氏はこういうお仕置きみたいなのに燃えるタイプだから全然いいけど。

 

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登山隊みたいな隊列が登ってくる、なんか列ができるとかっこよくていいな!!

MAMMUTの広告みたいなの撮影しようぜ!

 

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午前10時00分、肩の小屋口到着。

雪にほとんど埋もれた肩の小屋口の建物を通りすぎて肩の小屋を目指します。

 

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形状的には夏もこんな感じに見えていた気がする、

そしてあの頂までまだ1時間以上歩かないとダメ、本当に辛いなここ。

 

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「立派な雪景色でしょ、これ乗鞍」

なにも知らない人に南極で撮影したっていって渡したら騙せそうな景色が続く。


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とにかく進まざるを得ない、百景さんはひたすら進んで行くのだから。

 

この乗鞍岳ですが岳ってついてるけど大小様々なピークを持つ連山的な山です。

山体も非常に大きいため標高差を稼ぐこと以上に横移動が長いことが辛い。

冬はずーっと登り続けながら横への移動を続けるのが大変なのです。

 

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斜度はそこまででもないけど、

ピーク前は急激に角度をあげられるので滑落のリスクが高まります。

そしてこのだだっぴろい景色、GPSなどを持っていないと簡単に遭難できそうです。

 

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小屋まで一直線、夏なら岩でゴロゴロなはずなんですけど、

冬はきれいに整地されたような雪面が広がる。

 

4.朝日岳、稜線を守る無慈悲な登りの女王

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乗鞍岳山頂へのルートですが、今回は肩の小屋側から朝日岳を経由して登ります。

冬の乗鞍岳ですが人によっては画面左側の尾根側から一直線に登る人もいました。

「雪山は尾根をまっすぐ上がればいいんだよ」と自衛隊のおじさんが言っていたけど、

素人の俺には無理やっつーの……。

 

ちなみに、山頂手前の斜面はガリガリになっているみたいです。

絶対に滑落出来ない乗鞍岳日帰り登山のスタートですね。

 

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小屋も埋まってます、積雪量はどれくらいだろう?

 

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場所によっては地面が見えていることも。

もちろんトイレとかは一切使えません、登山前のトイレが生死を分ける。

 

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午前10時30分、乗鞍岳肩の小屋。

肩の小屋に到着しました、あんまり埋まってないですね。

ここで一旦休憩を挟んで山頂へ向かうことにします。

 

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小屋の向かい側にはコロナ観測所があります、確か立ち入り禁止だっけ。

こんな稜線に建てるとお水どうやって補給するんだろう?

お風呂も入れないから辛そうだなとおもう、痔持ちの僕には無理な職種ですね。

 

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流石に疲れたので3分ほどぐったりしていました、

そして気がついたけどもしかしてこの写真の付近って小屋の屋根の上じゃ……。

 

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「……多分あれが小屋の屋根だからここはセーフ」

屋根の上を歩く道もありましたが、アイゼンで屋根を傷つけると大変なので

正面から回り込むようにしましょう。

 

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軽く補給を済ませて登山再開です、

目の前の朝日岳を越えて乗鞍岳山頂「剣ヶ峰」へ向かいます。

 

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ここからは百景氏の独壇場です。

百景氏の後ろ姿を見失わないように登り続けます。

 

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たくましい脚力、すごい速度で朝日岳の斜面を攻略していきます、

これが長野ネイティブのパワー!とでも言わんばかりの力強さ。

 

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「白山、いわゆるホワイトマウンテン、開山1300年……」

こんな近くに白山が見えるわけないだろ!と言いたいけど見えます、

乗鞍岳まで来ると白山がとてもきれいに見えます。

 

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朝日岳の斜面はこれまでのスキー場の延長的な斜面から一変、ガリガリの雪山の極地へ。

小屋から上は安達太良山の山頂みたいな状態が続く。

 

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直登なのでぐんぐん標高が上がります、

気がつけばコロナ観測所よりも高いところに来たらしい。

 

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写真撮影していたら百景氏とずいぶん距離が離れてしまった、

真面目に追わないと見失ってしまう……。

 

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足元のトレースはそれなりですが、風が強く場所によってはどんどん消えていきます。

柔らかい雪の下にガリガリの雪がある感じで、アイゼンは刺さるけど歩きにくいですね。

 

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ひたすら登る、標高が上がってきたからか息があがります。

 

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地面も風で削られて、横一線の筋がたくさん入った雪の造形が一面を覆う。

 

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綺麗な景色です、立ち止まると風の音しか聞こえなくなります。

そして雪のある場所だと音が雪に沈んでひたすら静か。


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雪山に感動していたのですが、

マシーンのように進んでいく百景氏を追わなくては行けません。

斜度も大分きつくなってきました、足が休まらない。


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「あ、ついに消えた……」

視界から百景氏が消えました、これは生死に関わる緊急事態です、

急いで登って合流したいけどそんな馬力は俺にはない!!

 

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とりあえず素数を数えながら景色をのんびりと楽しんで落ち着きます。

小屋の向こうに北アルプスが見えるようになりました、

団子みたいに固まっててどれがどの山か全くわからない見た目。

 

かろうじて穂高、笠ヶ岳、常念岳はわかりましたが、他は全然ダメです。


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ガリガリの足元は非常におぼつかない、

体重が後ろに傾くだけでこんな斜面を100m位落ちていくんだろう。

 

よく富士山で滑落すると氷の上を滑っていくのでは?とかっていう人がいるけど、

氷の3,000m級の世界はご覧のような地面です。

遠くから見えると滑らかですが、現地はこのようにボコボコになっています。


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バキバキの海老の尻尾、パキンッて取れるんですよねこれ。

 

5.乗鞍岳の剣ヶ峰、山頂は極地の世界

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午前11時25分、朝日岳山頂。

歩き続けてようやく朝日岳山頂へ、稜線の上に立ってわかる乗鞍岳の絶景。


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山頂にある巨大なクレーターのようなカールですが、雪で綺麗な窪地に補正されている。

そして視線の向こうに山頂の小屋。


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後ろを振り向くと北アルプス。

ここも分類的には北アルプスと言われているけど、随分離れているなと改めて思う。

 

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登ってきた斜面を見直すとエクストリームな景色が広がっていました。

登れるけど下るのは無理ですねこれ、怖すぎます。

 

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念願の冬の3,000メートル付近に来ました、強風と日光が照りつける過酷な環境です。

そして目の前に広がるのはご覧のような景色、白と青しかねぇ……。

 

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正直撮影力がよほど高くないと絶景を写すことが出来ない被写体に感じる、

ただひたすら白いだけの景色が続く。

サングラスをはずそうものなら一瞬で目が焼けるくらいの眩しさが辺りを包みます。

「人間はここでは生きていけない」という景色でした。

 

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稜線をたどり乗鞍岳山頂へ向かいます、ここで登り返しが発生します。

登り返したくない人は朝日岳を経由しないルートで登るしかありません。

 

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「もう少しで山頂だ……うわ、風つよ!!」

歩いていて画面の位置くらいから強風が吹き付けるようになります。

夏でもこの辺風つよかったんですよね、冬の時期はさらに強く感じます。

バラクラバ無しで歩くと簡単に凍傷になることでしょう。

 

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世界一カッコ悪い登山ジャンプ in 冬の乗鞍岳

ヒキガエルみたいなジャンプが微笑ましいですね。

 

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乗鞍岳の標高は3,026mとそこまで高いわけではありません、それでも冬はこの景色です。

氷の神々の世界を感じることができますね。

「神は言っている、山を登れと……」という声が聞こえてきそうです、

一番いいのを頼むと装備を無心しておきたい。

 

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大日岳、屏風岳、薬師岳の方角はクレーターのようなカールが広がるのみ、

距離感がよくわからなくなる広さです。

雪山の悪いところは真っ白な景色を眺め続けていると距離感がおかしくなることだ。

 

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乗鞍岳から見る北ア本体、黒部五郎岳とか薬師岳がどこにあるのか非常に気になる。

今年は西側の山に登って見たいなと思っています。

 

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空に雲がかかり始めました、青空のあるうちに登りきらなくては危険です。

山頂がガスに包まれようものなら、冬山では簡単に凍傷になって死んでしまう危険性がある。

 

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写真で見るとすぐ近くに見えますが、まだ30分ほどの距離があります。

これから下る鞍部は風が強く立っているだけで体温を持っていかれる所、足早に通過したい。

 

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「風、強いです?!」

話しかけるもバタバタとフードが音を立てて揺れているので聞こえないようです。

急いで追わないとまずい状況です、真冬の風に体を煽られる中前へ進みます。


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百景氏を必死で追いかけながら山頂への登りへ、途中風が本当に強くて大変でした。


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この登りを歩いているときも風は容赦なく吹き付けます。

今日は風がない日ですが、それでも山頂付近は

部分的に風速10mを越える風が吹いていたりします。

 

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夏道の分岐を示す指導標もご覧の有り様です、

安達太良に比べると随分と長い海老の尻尾が発達していました。

この乗鞍岳の環境が安達太良よりも過酷だというのが理解できます。

 

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表面のテクスチャが真っ白な雪で覆い隠されている乗鞍岳の山頂の山々。

しかし、これまでの写真を見た人ならわかるはず、

この白い斜面、実際はぼこぼこだしヤスリみたいな雪で覆われていると。

 

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山頂直下の坂は迫力があります、上方にそびえ立つ城を目指すように

顔をあげて歯を食いしばって登ります、この登りはなかなかきつい。

 

夏でもこの登りはきついなと感じましたが、冬はなおのこと大変です。

 

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天国への階段じゃないけど、すごいいい景色です。


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山頂手前の海老の尻尾はどれも立派です、そして地面のガリガリ度もかなり上がってきました。

 

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風紋がすごい形に、こんなに長いの初めて見た。

 

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安達太良山で見かけた岩にこびりつくお化け海老の尻尾が至るところに。

形状的にはこの山安達太良山とは大分違う、一つ一つの直線的な距離が長い。

 

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あ、でもやっぱり蟹の剥き身みたいに見えますね。

 

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雲が増えてきてハロが見栄始めた、空には水平アークみたいな光学現象も。

 

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午前11時30分、乗鞍岳山頂到着。

鳥居まで来たら山頂です、冬の乗鞍岳を登りきりました。

夏はあんなに人がいた山頂ですが、今はわずかな登山客のみです。

 

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神社の社は行きに包まれ海老尻尾御殿になっていました、中まで真っ白な雪に覆われてしまっています。

 

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後ろから眺めると辛うじて木造の地が見えます。

山頂で遭難してもこれじゃ避難できないな。

 

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剣ヶ峰を表す山頂碑にはあんまり海老の尻尾がついていませんでした、

人がべろべろ触るから?

 

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山頂の展望を見ていきましょう、まず乗鞍岳の山頂からは御嶽山です。

一番目立つような形で鎮座する独立峰、肉眼で辛うじて噴気を確認することができました。

 

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御嶽山ダッフィー、乗鞍岳登山お疲れ様!

 

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折角だから海老の尻尾に埋もれてもらいました、ムギュッ!!となった感じも可愛い。

 

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次は北アルプス本体、乗鞍岳からは穂高が比較的見つけやすい。

真っ白な稜線が圧縮されて前後関係がよくわからなくなっていました。

 

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記念写真を撮影しようとする我々でしたが、百景氏はなぜか逆立ちをしようとしている。

結果この写真しか残りませんでした。

 

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山頂でコーラをすっと渡され、思わず記念写真を一枚。

山での飲む炭酸って悪魔的な味がするんだよね。

 

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御嶽山の奥には何があるのか、未知の世界です。

小秀山とか登ったけど、下呂温泉周辺はあまり登山がメジャーな感じもしなかったしな……。


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乗鞍岳の山頂に来るとわかるのですが、乗鞍岳は一つの山の名前と思いがちです。

しかし、実際はその稜線には無数のピークがあり、乗鞍岳は山の集合体。

2,800mから上には天空の回廊が広がる巨大な山です。


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すごくわかりにくいけど浅間山方面、画面中心にある白い突起が浅間山。

この日は天気が良くて遠くまでよく見える一日でした。

 

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冬の北アルプスを乗鞍岳から見る機会は中々ありません、目に焼き付けておこう……。

冬に僕が登れる北アルプスの山は乗鞍岳と唐松岳位のもの。

 

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続々と登山者が山頂へ集います、賑やかになってきました。

 

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小屋にべったりこびりついた雪を見るとこの山頂の風の強さがよくわかる。

日によっては風速20mなんて簡単に越えるような世界なんでしょう。

 

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雪の作り出す規則的なテクスチャ、アイスアーマーを纏う社ですね。

 

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団扇みたいな氷の板が何枚も張り付いた壁、

雪山に来ると普段見れない景色がたくさんみれます。

あと、都内近辺だと雪を見る機会がないので季節感がわかないんですよね

冬の季節はこうして雪を見に来るのも大事だと思いました。

 

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大分人が集まりましたし、写真も心行くまで撮ったので下山しようかと思います。

 

6.下山、太陽と雲の織り成す巨大な日暈に追われて

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午後12時35分、下山開始。

空に雲がかかり始めました、下山するにはちょうどいいタイミングです。

正直かなり長い時間を歩く山だったので下山が心配だけど、頑張って歩きましょう。

 

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下山時は常に北アルプスの絶景を見ながら歩くことができます、穂高が眩しい。

 

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冬の焼岳に登りたいと百景氏は話ながら下山していきます。

 

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ちょうど山頂を覆う形で雲がかかる、薄い雲に太陽光があたり、巨大な日暈が出現。

日暈は英語でヘイロー、XBOXが好きな人はマスターチーフでピンとくるでしょう。

え、それじゃない??

 

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今日は多くの人が乗鞍岳を目指していました、コース上には必ず人がいる状況。

 

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すっかりと青空から真っ白な空になってしまいました。

青空のタイミングで山頂にいれてよかったですね。

 

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下山は鞍部から斜面に降りて一気に下ります、雪崩の跡がない緩やかな斜面だけど、

それでも怖いものは怖い。

 

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みんなヒップソリで滑って行きます、冬の乗鞍岳に来る人はみんな頭がエクストリーム……。

 

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百景氏ももちろん滑ります、男の子は何歳になってもソリが好きです。

 

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人の歩いていない場所にいくとご覧のような美しい風紋が辺り一面に広がります。

幾何学的な法則を思わせる白い景色に目が眩む……。

 

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空が曇っただけでこの世の果てみたいな景色が広がる、これだから雪山は怖い。


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雲は薄く日暈がくっきりと現れている、風は強さを増して登山者へ容赦ない冷気をぶつけていた。

 

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暫く歩くと雲が晴れる、すると巨大な日暈がくっきりと現れました。

こんなにはっきりと日暈をみたことがないので若干気持ち悪いというか

怖い気持ちが頭のなかを駆け巡っていきます。

 

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角度が変わるとこんな感じに日暈が見えます、超巨大建造物みたいな圧迫感があって

写真で見ると後ろから光が迫ってきているような感覚が強調されて怖かったです。

 

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下山はすいすいと進みます。

午後になり気温も上がってきているため踏み抜きやすくなった雪の上を歩き続けました。

 

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山頂にかかる巨大な日暈と青空、乗鞍岳の巨大さ以上に太陽や雲の偉大さを思い知ったぜ……。

 

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高層の雲が広がっているため下山方向も空が白い、

早朝から登ることを心がけていてよかったです。

出発が少しでも遅れていたら青空のない山頂を踏んでいるところでした。

 

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何度も振り向きながら乗鞍岳をあとにします、楽しかっただけに名残惜しい。

 

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樹林が出てくる頃には位ヶ原山荘宿泊の登山者が続々と上がってくる感じになっていました。

明日も天気がいいということで、皆さん泊りで登れてうらやましい限りです。


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スキー場位まで降りてくると空は再び青空へ、やっぱり青空がナンバーワン。

 

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乗鞍岳の下山における核心地はここ、最後のスキー場でしょう。

急斜面を歩いて降りなくてはならないのですが、アイゼンがないと僕は厳しかったです。

冬靴でスキーの要領で滑っていく百景氏は……よく訓練されている。

 

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午後3時55分、休暇村到着。

乗鞍岳下山完了しました、お疲れ様です。

休暇村でお風呂に入ろうかなーと迷ったのですが、

他のところに行こうという話になり周辺の温泉を探すことにしました。

 

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本日はストックとアイゼンが大活躍でした、個人的には朝日岳の登りはピッケルでもよかったけど

全体を通してみると距離も長いのでストックがあると楽な山だなと感じた次第。

自分のスタイルに合わせて最適な装備を選んでいきたいですね。

 

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下山後の温泉は湯けむり館へ、

他の温泉がどこも宿泊者利用限定になっていたりで全然入れなくて……

湯けむり館は乗鞍だと帰り道に通るお風呂、しっかりとした温泉でとてもさっぱりしました、

露天風呂の雰囲気が良い温泉に外れはないですね。

 

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下山後の牛乳はちゃんと地物で好感が持てました、このイベントは欠かせないよね。

 

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名物ソフトクリームはコケモモということだったのですが、

バニラを外す訳にはいかないのでミックスを頼むことに。

感想としては無理してコケモモにしなくても、

バニラでもいいんだよという優しい気持ちになれる味でした。

 

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その後、今日は長野で一夜を明かすと話をしたところ

百景氏おすすめのラッキー食堂へつれていってもらいました。

凄まじい内容量を誇る千曲市イチオシのラーメンだとかなんとか……。

 

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「うん、これは見るからにゲテモノ!」

肉にマヨネーズに麺、スーパーカロリーフードが目の前にやって来ていました……。

1日で消費したカロリーをすべて過去にしてくれたんじゃないだろうか。

 

最高にジャンクな味がするので好きな人はとことん好きだと思います、

スポーツの後に炭水化物をいやというほど摂取するにはおすすめのお店です。

 

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さて、今回は久々の土日自由という事で、長野県で一晩を過ごすこととなりました。

ホテルなんてとっているわけがないのでやって来たのは健康ランド。

冬場にテント使おうとも思ったのですが、

風呂に入りたい気持ちが強かったので健康ランドでファイナルアンサーです。

 

こちらの信州健康ランドは塩尻市のインターチェンジからほど近く、

翌日の木曽駒ヶ岳登山口へもアクセスがそれなりにいいので目をつけていました。

 

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健康ランドではユニフォーム姿になる必要があります、

真っ青なユニフォームに着替え信州の温泉アトラクションを心行くまで楽しんだ後は

生ビールを飲むしかないでしょう!!

 

この信州温泉ランドには仮眠室があるのですが、

もちろんイビキがうるさくて寝れたものではありません。

スムーズな睡眠を確保するためにもお酒は有効な手段となるでしょう……。

あと目隠しと耳栓、これは必須アイテムです。

 

こうして長野県雪山の旅1日目は終わって行くのでした……、

30代でも貧乏旅行は楽しいものです。

そして舞台は翌日、3月の木曽駒ケ岳へと移ってゆくのでした。

 

7.まとめ

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冬の乗鞍岳登山

ただひたすらに「長い」、それが冬の乗鞍岳登山です。

単調な道を延々と歩き続けた先に待っている極地の景色を求めて、

真っ白な世界をひたすら歩く。

車で行けてしまう山頂がいかに巨大なものだったのか、

それを嫌というくらい思い知らされます。

 

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山頂からはそれまでの苦労を労うように北アルプスの大展望がプレゼントされます。

さらに御嶽山や白山といった山々も眺めることができる、それがこの山の魅力でしょう。

 

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肩の小屋から先は傾斜もきつく非常に辛い登りが続きます、

滑落のリスクもあるので冬用の装備はしっかりと揃えて登ることを心がけたいところです。

 

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冬の3,000峰、僕が登れる雪山としては赤岳と合わせてここいらが限界かなとは思います。

3月下旬とはいえ、無事に冬の乗鞍岳を登れたことには感謝しか感じません。

ちゃんと下から歩いたからか、乗鞍岳の素晴らしさ(朝日岳がでかいこととか)

大きさといったものを心の底から感じることができるいい登山でした。

 

人生最高の山は続く。

 

乗鞍岳の地図はこちら

山と高原地図 乗鞍高原 (山と高原地図 39)

山と高原地図 乗鞍高原 (山と高原地図 39)

 

何だかんだで紙の地図は役に立ちます、持ってて損はない。

 

この登山で役に立った装備

Black Diamond(ブラックダイヤモンド) トレイル BD82328

Black Diamond(ブラックダイヤモンド) トレイル BD82328

 

ストックが役に立った山でした、ストックがあると疲れがかなり軽減されます。

岩山以外では基本使ったほうがいいアイテムだと思います。

 

コカ・コーラ ペットボトル 500ml×24本

コカ・コーラ ペットボトル 500ml×24本

 

マジ雪山で飲むコーラサイコー!

 

アミノバイタル GOLD 30本入箱

アミノバイタル GOLD 30本入箱

 

プラシーボかもしれませんが、飲んでると結構動けます、こいつは冬でも使えます。

 

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