Red sugar

山と写真とカメラが趣味の人にお勧めな登山ブログ、全国の山の登山情報と山岳写真情報を書いています

【登山写真考察】レタッチノート、苔と清流に覆われた癒しの川苔山現像編

完成版

皆さんこんにちは、D850×2台持ち登山芸人のRedsugarです、山登ってますか?

登山するときはカメラがあると幸せな気持ちになります、

特に良い景色が撮影できたときは天にも登る気分です。

  

さて、今回の記事ですがレタッチノートという事で、

一眼レフをつかっているなら、RAW現像をしっかり覚えて、綺麗な写真をさらに綺麗にしたい。

という思いから書いてみることにしました。

 

普段のブログ用の現像と、一枚の写真として考えたときの現像で

仕上がりが違ったりするのですが、

目的に合わせた現像について試行錯誤の過程を記事にしてみたいと思います。

プロではないしRAW現像も基本的なことしか出来ないのですが、

素人でも基本的な機能が使えれば楽しいよというのが伝わるといいな!

 

それではいってみましょうレタッチノート紅いちご編、5月の川苔山清流登山です。

  


DSC_2701-2

登山で写真を撮るということ

登山、準備は大変だし山を舐めたら簡単に人が死にます。

滑ったら簡単に遭難できる過酷な世界です。

重いカメラを背負っての登山は普通の登山よりリスクが高いため、

簡単には素人におすすめできません。

 

ですが、最近のミラーレスとかは軽いし、RAWもちゃんと出るので、

まずは軽いカメラで、コースタイムに影響が出ない範囲でパシャパシャと

RAWで撮影してみるのがいいと思います。

 

大切なのはRAWで撮ること、そう、RAWで撮影する気持ちと男気です。

SDカードの容量など気にしてはいけません

「写真は撮影6割、現像4割」位の精神で

「逆に考えるんだ、後処理でなんとかしちゃえばいいさ」の気持ちが大事です。


DSC_8861

さて、今回は滝と苔が多い川苔山という事で下記のブログ記事を参考にしています。

 

 

そして、最近読んでいる下記の本の内容を確認しながら現像していきたいと思います。

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 構図の法則

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 構図の法則

  • 作者: リチャード・ガーベイ=ウィリアムズ,ナショナルジオグラフィック,関利枝子,武田正紀
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

 

 

 

 

1.登山で写真を撮る、準備編

DSC_8975

川苔山で主題や副題といった構図の要素を意識して撮影をしてみてわかりましたが

登山しながら写真はとても大変で危険です。

 

登山にはコースタイムというものがあり、

撮影に時間を使うと日没を招き遭難の危険性を肥大化させます。

本来は一日目ロケハン、ロケハン後構図などの目星をつけて

二日目に想定した構図を手早く撮影しつつ歩いていくのが推奨されます。

 

僕の場合は「日帰り&初見の山」が多いため、

 ・事前の下調べで登山道の状態

 ・コースの見所、写真が撮れそうな場所

上記を可能な限り調べてから挑むようにしています。

登山は準備の段階で8割りが終わっていると思うくらい、準備重要です。

 

【川苔山登山のコースタイムと撮影にかけれた時間】

【コースタイム】

川乗橋7:45→川苔山登山口8:35→渓谷沿い第一撮影ポイント8:45-9:00→

渓谷沿い第二撮影ポイント9:05-9:30→百尋ノ滝10:00-10:40→山頂12:00→

舟井戸12:15→大ダワ13:00→本仁田山13:40→安寺沢14:50→奥多摩駅15:20

合計登山時間 7時間35分(標準CT6時間50分)

撮影に使用した時間 1時間20分

撮影に時間をかけると比較的早めに歩くことを心がけてもコースタイムをオーバーします。

余裕を持ったコースタイムでなくては撮影はかなり厳しいでしょう。

 

今回撮影した箇所は三ヶ所、この三ヶ所で1時間近く時間を使ってしまいました。

百尋ノ滝は川苔山山頂からまだ二時間ほど手前……、

つまり百尋ノ滝で時間を消費すると山頂へ行けなくなったり日没を迎える可能性が出ます。

登山しながらのマジ撮影は危険です、

コースタイムから撮影可能な限界時間を自分で理解しておかなくてはいけません。

 

そして、はじめての山では撮影に二時間かけるとかは絶対にやめましょう。

自分が一度歩いて、大体の時間感覚がわかるところで安全な範囲で撮影するのが良いです。

 

【装備に関して】 

基本的な登山用の装備なしで山に突入するのは大変危険なので、

装備は整えてから撮影に入りましょう。

www.redsugar.red

 

また、今回の撮影の反省点としては

 ・ガチで構図をとるなら3way型の三脚か、細かい調節が可能な自由雲台が必要。

 ・滝を撮影する上でNDフィルターが必須だった。 

という2点、僕の使用しているスプリントMINIでは細かい構図をとると

構図を作るのに非常に時間がかかります、コースタイムを圧迫する……。

下記のような装備を今後は揃えていこうかと思います。

Kenko NDフィルター PRO1D プロND16 (W) 77mm 光量調節用 277447

Kenko NDフィルター PRO1D プロND16 (W) 77mm 光量調節用 277447

 

 

2.今回の記事での現像について

00_00_素材

今回は現像を進める上で二つの方向性を考えながら現像していきます。

 ・ブログで利用するための現像

 ・twtter等で公開するための写真

上記の2パターンです、ナショジオ教本にも出てくる【ビジョンと目的】の部分にあたるかな?

 

DSC_7569

僕のブログはなるべく自然に近い景色を意識しつつ、

見た人が山にいきたくなるような爽やかさやを出せるよう気を付けています。

それぞれ写真が個性際立ってしまうと、

登山の様子が連続した体験として頭に入ってこないからです。

 

基本ブログは写真と文章の会わせ技、

写真の内容を説明できるし、文章から想像を書き立てられたりする部分もあるので

「見易い、分かりやすい、スルーしやすい」

辺りが重要なのかなと思います。

 

01_16_記憶色_01

それに対してtwitter等にアップする写真は基本140文字の制限があり、

写真自体に強いメッセージ性やストーリーがある事が大事なのかなと思います。

言葉による説明が十分にできないので

ビジュアル的に分かりやすい写真が好まれるのではないでしょうか。

 

……なんだか本業のキャラクターデザインに似てるなぁと感じます。

ゲームのキャラクターデザインでも対応する環境でデザインが変わります。

マンガやRPGのキャラって見た目から連想する性格やストーリーが、

読み進めた結果一致していなくても良いのです。

 

しかし、アーケードの格闘ゲームとかは見た目と性格、

技がすべて一本で繋がっていたほうがいいという不文律があります。

 

これはアーケードゲームには基本ストーリーがなく、ゲーセンでのゲーム時間は基本3分。

見た瞬間に理解できなくてはゲームそのもののへの導入率が落ちる、

コンテンツの理解度が分かりやすくないとユーザーが触らないっていう話があるんですね。

 

FF15の主人公が王子かどうかは説明読まなきゃわかんないけど、

ストリートファイターのリュウは見た目で「格闘家、恐らく空手」ってわかったりする

というのが基本的な考え方です。

 

話がそれました。

つまり、「出す場所、使う用途」によって絵作りって変わるよねっていうのを

意識して現像をしていきたいと思います。

 

3.川苔山の苔むす渓流を現像してみる

00_15_元の素材

D850+Nikkor AF-S 28mm f1.4E_ss2秒_f/16_iso.31

百尋の滝手前にある渓流です。

さて、この写真ですがめっちゃ暗いですね。

RAWでの現像を考えて撮影したのですが、どれもこれもこんな明るさになってしまいました……

いわゆる【滝が白飛びしないように撮影したら岩が暗くなりすぎた件について】です。

 

さて、本当にこんなんであっているのかをビクビクしながら現像を開始します。

 

まずは現像の目的を再確認

今回はRAW現像の練習と言うことですが、下記の二つのビジョンで現像をします。

 1.ブログで使うためのなるべく自然に近い見た目で綺麗にする。

 2.snsに投稿し、携帯の明るい画面でみたときに綺麗に見えるように調整する。

 

3_1_構図と下地

00_00_素材

さて、まずは構図です。

現場で撮影していてわかったのですが、

スプリントMINIではこのような環境で

「微調整いれながらトリミング不要な写真を短時間で撮影」するなんてことは無理でした。

いわゆる構図を追い込むための経験が不足しているところに、

機材の精密動作性の悪さがはまり全然構図がとれん……となりました。

 

なので、画面右上から滝が流れてきていて

画面左上はネガティブスペースとして、みなくてもいい空間が広がるように撮影したい

という意図が大体分かる構図で撮影、あとは画面上でバランスを整えます。

 

00_01_素材

「バランスを整えるといったな、あれは嘘だ。」

 

画面でみてみると川以外の暗い範囲が多く、

主題の面積が少なくてバランスが悪いように感じました。

微妙なトリミングではダメだと思い、思いきって真ん中だけ抜きました。

 

ズームレンズがあれば最初からその構図でとれるだろという人がいるかもしれない。

でも現場で撮影中のファインダーで見る構図と、

家に帰って27インチの画面で構図をとりながら見るのは全然違うのだ……、

要は家の感覚を現場でも冷静に発揮できるのがプロなんでしょうね。

 

00_02_露出

トリミングしたら色温度、色かぶり、露出のパラメーターを上から弄っていきます。

この三つのパラメーターは土台なる色味と画面の明るさの基本値の設定だと思います。

 

ここで画面が全体的に青いのか、黄色いのか、

暗いところはどんくらい潰れてほしいのかを決めました。

 

また、パラメーターの一番したにあるカメラプロファイルの設定を[camera portrait]に

レンズのプロファイル補正をonにしました。

 

3_2_段階補正

00_04_段階補正右下

さて、土台ができたら大きなパーツから調整していきます。

人間の視覚は近くにあるものから遠くにあるものを追うようになっている、の原則から

まずは写真の中で一番自分に近い手前の岩場の調節を行ってみます。

 

画面が暗くてシャドウが潰れている気がするので露出系をあげました。

 

00_05_段階補正左上

次にネガティブスペースのある左上の調節を行いました。

画面左上も黒くつぶれているのでシャドウの数値を持ち上げてディテールを掘り起こします。

肉眼でみていてもここは暗かったので、明るくしすぎると違和感が出そう。

 

00_06_トーンカーブ

こちらが左右の岩場を調節した状態です。

ここでもう一度全体の数値を微調整して整えました。

また、トーンカーブの数値を調整して全体のバランスを整えました。

 

シャドウ、ダーク系のパラメーターをあげつつ、ディテールが落ちないように

明瞭を使って調整を進めていきます。

 

3_3_ブラシで細部調整

00_07_ブラシ補正_00

細かいパーツで気になるところを調整します、まず手前の岩。

視線が「画面下から上に向かう、画面右上のから下に向かう」

その両方で目にはいるパーツです、ディテールが潰れすぎている感があるので調整。

 

00_08_ブラシ補正_01

次は左側の岸、視線が画面左に流れた時にここが眠いと

すーっと視線が画面外に流れていくので目立っていただきました。

 

ここまでで水以外の部分の調整をしました、

本来であれば面積が大きく画面に与える影響のでかい滝を最初に調整した方がよかった気もする。

今回は滝を囲うように周辺のパーツを整えてから、最後に滝をいじります。

 

00_09_ブラシ補正_02

滝から画面手前に流れてくる川までをマスクして色味の変更をかけます。

現地ではあんまり青っぽくは見えないけど、

写真で見たまんまを再現しても同じ印象にはなりません。

 

いわゆる記憶色というやつです、ブログでさらさらーっと流し見させるのであれば

回りの色に馴染ませるのがいいと思うが、今回は青くします。

 

00_10_ブラシ補正_滝レタッチ前

因みに色味を青に振らないで調整するとこんな感じです、

これはこれでいいのではないかと思う。

 

00_11_ブラシ補正_滝レタッチ後

川全体と手前部分に分けてマスクを作り調節。

……画面をよーく見てると周辺部のハイライト地点が飛び地になっていて、

なんか絵が拡散しているように見える。

 

00_12_ブラシ補正_岩の色変えた

画面上部、いわゆる視線が向かないネガティブスペースだと思うのですが

こちらに調整を加えて他の部分と均一にディテールをたてることにより、

画面全体がパッキリするようにしてみました、

ネガティブスペースだからといって眠いままだと画面に影響が出るようだ。

 

3_4_最終調整、滝の色が印象を変える

00_13_出力した

【ブログ用出力イメージ】

さてここで一旦出力です、仮想コピーを利用し、

まずは川の色を青くしないものを見てみます。

画面全体が緑のトーンで支配されており、

視線もスムーズに手前の川から奥の滝に移動するのではないでしょうか?

なるべく自然に見えるようにしつつ、森で感じた潤いが伝わるように現像しました。

 

00_14_滝の色を変える

【twtter用出力イメージ】

滝の色を変えてみました。

だいぶ印象が変わり、川が画面の中で強い力を持つようになったと感じる。

湿っぽい雰囲気が出てきたよね?

これで緑のカラーを生っぽくすると、より渓谷感が出ることでしょう。

 

でも奥多摩の森ってビリジャンというよりも

黄色が入ったような緑のイメージなんでやめておきます。

 

 

00_16_どぎつい修正

【やり過ぎた現像】

構図を変えてどぎつくしてみた

同じ写真を使いつつ、トリミングを変えつつ色味のコンセプトも変えて現像してみました。

滝!渓谷!っていう感じをイメージして緑色を生色に、水を青くしています。

よくない現像だなと思いました。

 

00_15_元の素材

ここで改めて元素材確認、RAWってすごいですね。

現場で追い込めなくても後でなんとかなるというのは感謝です。

とはいってもライトルームでこんなに調節すると商品としては使い物にならないと思うので

こうやって調整してもブログ用止まりかなと思います。

現地でトリミング不要な構図で撮影して、

手入れは最低限位なのがプロなんだろうな、僕にはちょっと遠い世界です。

 

 因みにブログでは川の色を変えなかったやつを使おうかなと考えています。

 

 

4.清流が主題、苔と川を意識して現像

01_00_素材

D850+Nikkor AF-S 28mm f1.4E_ss1.6秒_f/16_iso.31

さて、お次はこちらです。

同じ渓流ですが、位置をぐぐっと下げて撮影しました。

画面手前に迫ってくる水をもっと表現したい、どうしたらいいんだろう?

と考えて遠近感と画面に奥から手前に向かって拡散するラインが強調されるよう意識しました。

 

4_1_構図と下地

01_00_素材

これは構図的にはやりたかったことに最初から近いので、

あんまりトリミングしなくて良さそう、滝が主役になってるよな??

 

01_01_構図の選定

岩の位置と、画面を右上から左下に斜めに走るラインを調節したいので少し切ります。

また、滝の左にある岩の頭が切れるようにした結果、

画面左上の暗黒空間がネガティブスペースとしてぽっかり浮かないかな~と。

 

01_02_数値調整

トリミングしたらベースの数値を整えます。

 

露出+0.76、シャドウ80、明瞭20、自然な彩度30とだいぶ明るくしました。 

この写真は水の色のコントロールが最終的な印象を左右しそうですね。

 

4_2_段階補正

01_03_段階補正右下

段階補正を利用して写真を修正していきます。

写真をよく見て、視線がどう動くかを観察した結果、

画面手前の地面から奥に動く人が多そうだと判断、手前から調整します。

 

シャドウ40と明瞭20くらいでディテールを起こします。

 

01_04_段階補正左上

滝を挟み込むような感じで画面左上も調整します。

前の写真と同じく左側はネガティブスペースになり得る暗い領域、

その中にポツンと目立つ岩があります。

岩が滝とセットになりつつ、視線を引き留める役を担ってくれないかなと思いました。

 

黒い部分は現場でも暗かった所で、かろうじて地面の反射が岩を照らしている程度

それを意識してシャドウをあげすぎないように調節。

 

01_06_段階補正確認

段階補正をした段階で一度確認です。

画面中央下段のコケから視点がスタートして、滝、岩に目が移動して終る気がします。

そうでない場合は滝から手前のコケ、そして見終わったあとに左の石に視線が写るのでは?

視線が通るであろう場所の見映えに注意して調整します。

 

4_3_ブラシで細部調整

01_08_岩修正

画面真ん中の目立つ岩の調整です。

滝、手前のコケ、真ん中の岩は目を引くのでブラシで明瞭に引き立てていきます。

 

01_07_滝の色変更

岩のハイライトとシャドウを調整して硬質感が出るようにしました。

滝以外はディテールが立ったので、滝の調節をして写真の方向性を定めます。

自然な感じに仕上がってほしいと考えていたので、青みは押さえて調節。

 

01_10_背景修正

画面をジーっと見ていると

「最後に目が動いていくネガティブスペースが暗すぎる」ことに気がつきました。

ここのディテールをたたせると視線が画面外に抜けにくくなると思ったので

影の部分のシャドウを持ち上げてディテールを掘り起こすことにしました。

 

4_4_最終調整

01_11_修正確認

ここで一旦完成です。 

全体の色味も青に転がしたりはせず、なるべく自然な色を想起させるように意識。


01_13_最終調整_色味

ここで、色味を調節するとどういう効果がでるかの再確認です。

緑の色を鮮やかにして、水の色も彩度をあげてみます。


01_14_出力品

【ブログ用出力イメージ】

個人的にはバランスがいいと感じている現像になりました。

渓谷の持つ湿っぽさと5月の新緑の雰囲気が出ているんじゃないかな?

 

緑を生っぽくすると渓谷の湿った感じやみずみずしさが強調されますね。

個人的にはこれくらいが自然に見える限界だと思う。

 

01_15_色味を変える

緑の彩度だけ落としてみました。

コケの色が黄緑だと奥多摩の渓谷らしい、現実的な雰囲気になると感じています。

でも少し味気ないので、単品で見るには弱いのでブログの流れでは使えるかな。

snsにアップするなら一つ前のものの方が良さそうです。

  

01_17_記憶色に寄せた出力品

【twtter用出力イメージ】

完成品を記憶色に寄せて調節してみました、

水が青いとやっぱりそこに視線が引っ張られてしまいますね。

個人的には好きじゃないので使わないと思う。

 

5.小さな滝のシズル感を探る、滝現像

02_01_元素材

D850+Nikkor AF-S 28mm f1.4E_ss2.5秒_f/16_iso.31

次はこの写真、滝をメインに撮影しました。 

この写真は画面右の滝と、左側のつきだした岩の対比がキーになってきそう。

 

5_1_構図と下地

02_00_元素材

現像開始です、これも最初にトリミングします

画面左のネガティブスペースですが、画面左下の流木がワンポイントで目を引くのと

画面左上のコケのラインが細くなって終るのがよくないと判断。

 

02_02_トリミング

左上のコケが末広がりになると、画面外に素敵なコケ面が広がるように錯覚するやろ!

というわけでトリミングします、ばつーん。

 

02_03_パラ調整_かすみ除去50

トリミングしました、画面左手の突き出た岩の右端が画面中心から少しずれ

左0.4、右0.6の線上に来ました、黄金分割……。

人体イラストだと足元から頭頂を1とした場合、足元から0.6の位置にへそってやつ。

 

02_04_パラ調整_色温度変更

基本パラメータを調整します、

上から色温度、露出、コントラスト、明瞭、自然な彩度かすみの除去の調節。

全体的に明るくしつつ明暗の差が強く出てしまった、どどどどうしよう。

 

02_05_トーンカーブ

シャドウ部分が暗すぎるのでトーンカーブのシャドウを持ち上げます。

黒くつぶれた部分が減り、滝と対比できるディテールが浮かんできました。

滝に視線が釘付けにならないバランスになっているかなと思います。

 

5_2_段階補正

02_06_段階補正

滝は最後に調整するので、画面左の岩から調整します。

ディテールを起こすことを考えながらシャドウと黒レベルの調節します。

 

02_07_段階補正

画面上部が明るすぎて、絵のパワーが拡散されていっているように見えたので、

フレーム効果を狙うつもりで画面上部の明度を下げます。

これにより画面中最も明るい場所が滝になるはず。

 

02_08_一時確認

一旦確認です、画面左奥と手前の岩が似た明度であるため遠近感がついていません。

前後関係が明瞭ではないと判断したので補正します。

また、全体的に黄緑に転がっている画面のため視線が滝から先の誘導が弱い気がする。

 

5_3_ブラシで細部調整

02_10_ブラシ

先ずは手前の岩が引き立つようにしてみます。

色を青く調節しつつハイライトを落として硬質な感じに調節します。

 

02_09_ブラシ

次に奥の壁の明度を下げます、

奥にあるものは青くなったり暗くなったりする空気遠近法みたいなもんです。

現場で人間の瞳でとらえて、「感じたもの」をカメラは同じように写せないので、

こうやって強調する作業は必要かなと思います。

 

02_11_ブラシ

奥を暗くしたら手前の岩を明るくしていきます。

画面奥が暗く、手前に来るにつれて明るく明瞭にしてみます。

 

02_12_ハイライト

岩自体の持つ凹凸感や、ワンポイントの視線のフックがつぶれないよう。

特徴となる部分のディテールを起こします。

シャドウを下げてハイライトをあげ、メリハリをつける。

 

02_13_影補正

最後に影の部分のディテールを起こします、

「水面からの反射光が当たっていることを意識して」影を起こしました。

 

02_14_滝の横補正

滝の処理に入る前に滝の真横の岩場を起こします。

岩場よりは張り付いた草の緑が印象的です、

水辺の草ということでここは生っぽい方がいいのかな?

ハイライトを持ち上げて葉が目立つように調節。

 

02_15_滝の修正

そして滝です、色温度を-10、露出とシャドウを持ち上げつつ、ハイライトに-10入れました。

白飛びを回避しつつ明瞭さを引き出します。

 

02_16_確認

一旦確認します。

好みの雰囲気になった気がするけど、全体的に主張が強い。

小うるさい画面になっているような気がする。

 

5_4_最終調整

02_17_岩の修正

滝と左側の突き出した岩の中間にある濡れた岩がてかてかして気になります。

岩として硬質な感じでまとまっていて欲しいので調整します。

露出を-23、ハイライト-30とシャドウ-40で明るい部分を抑えます。

 

明瞭を下げつつかすみの除去を20あげることにより暗い部分が引き締まり

暗く硬い感じに微調節されました。

 

02_18_川の修正

最後に水面を調整します。

岩を調整した段階で終わりかなと思ったのですが、滝と水面が双方明るく

同輝度の面が大きすぎると視線が最初に滝に向かわないだろうと思い。

水面の輝度を落とすことにより滝に目が向くようにしたようがいい結果が出ると考えました。

 

露出-20、ハイライト-10、シャドウ-20、黒レベル-10、明瞭-20と露出系の数値を下げ

コントラスト10、かすみの除去20と黒が明瞭になるパラメータを上昇させます。

 

5_5_完成??

完成版

調整し終わった画像がこちらです、ブログ用もtwtterもこれでいいかな??

 

 

水面の明るさが抑えられ、滝が主役として目立つようになりました。

とりあえず滝を最初に見てもらえるようになっているはず。

そのあと視線は左に移動し岩へ向かい、最後に水面。

もしくは水面に移動したあと岩へ向かうかのどちらかになると思います。

 

自然っぽくないっちゃないのですが、川苔山の渓谷の持つ岩とちょっとしたコケ

そして渓流の魅力を伝わりやすくできたのではないかな?

なんか、キャラ立ちしてる気がするからこいつブログとTwitter両方で使うことにしよう。


6.百尋の滝を現像する

03_00_元素材

川苔山といえばこいつです、百尋ノ滝。

気合い入れて滝壺に足突っ込んで撮影を行いました、滝壺に入っての撮影は

 ・後ろの登山客に迷惑

 ・飛沫がカメラにかかるので綺麗な写真をとるのが難しい

上記の2点に気をつけていただきたいです。

ここは人が多いから、長時間撮影すると記念撮影の邪魔になります、本当に申し訳ない。

 

6_1_構図と下地

03_01_トリミング

微妙に角度を調整します、この写真ではパース感が重要だと思うのですが。

滝のスタート地点から放射線状に伸びる要素が目立つようにトリミング。

 

画面中央の岩に走った横一文字の亀裂が左肩上がりになるように調節。

滝と濡れた斜面が画面下部に向かって広がるようにしてみたけどいまいち??

 

03_01_基本パラメータ調整

基本的なパラメーターを調整してコントラストが強くなるようにしました。

滝のラインがよく見えて、岩の質感が硬くなるように調節していきます。

コントラストを+30と強めにかけつつ、明瞭も入れました。

 

滝なんて最後どーにでもなるんだから岩だよ岩の精神。

 

6_2_段階補正

03_03_段階補正

段階補正ツールで滝の両脇の面を整えます。

左側は濡れた面が多く、右は緑が多いというバランスの悪い組み合わせ

画面右側はほぼ見ないだろうということで、岩に意識が向くように頑張るしかねぇ。

 

ハイライトを下げつつシャドウをあげて影となっている部分のディテールを起こします。

 

03_04_段階補正

次は画面右側、緑の印象を強く出すためハイライトを下げて自然な彩度をあげました。

山写さんの滝の修正を見習って緑が強くなるような調整。

 

03_06_段階補正

「画面左下の岩のディテールが出ていないと楽しくないな」

と思ったので画面中心から思い切って段階補正を入れました

シャドウをあげすぎて黒が眠くならないよう、黒レベルを下げて、明瞭をあげます。

これでディテールを掘り起こすことができたんじゃないでしょうか?

 

6_3_ブラシで細部調整

03_05_ブラシ補正

段階補正で面をある程度整えたので、ブラシを利用して岩の質感を整えていきます。

ハイライトを45とあげつつシャドウを-30にしてメリハリをつけました。

かすみの除去も10入れてディテールを起こす。

岩よ硬くなれー、岩らしくなれーと唱えながら作業しました。

 

03_07_滝修正

光の当たっている岩の部分が硬くなったと思うので、滝の調整をします。

水だけを選択はできないので、大きな面を選択して全体を調節。

 

水を青くしすぎると不自然なので色温度を-10手前くらい

ハイライトと明瞭を30にすることにより、滝の白さとディテールを出します。

滝が周辺の緑とバランスの釣り合った色になるように気をつけます。

 

03_08_滝修正

滝を調節すると最後に画面左下の壁面が気になりました。

暗い中にうっすらと岩が見えるという感じが欲しいので、硬さを出すのと同じ考えで

暗くする調整を入れつつシャドウを持ち上げてディテールを出しています。

6_4_最終調整

03_09_最終調整

最後に色別の調整を行って印象の調整を行います。

この画面を支配しているのは緑と青、双方を青に寄せると渓谷の雰囲気がでます。

あくまで自然がいいなと思うので、色相は動かさずに彩度をあげて対応しました。

 

滝の色味は自然さを保ち、森の色はフレッシュグリーンで。

不自然に見えないように心がけて調整して見ました。

 

03_10_ブログ用

【ブログ用出力イメージ】

画面全体が青に転ばないよう、滝と岩の対比が成り立つよう意識して現像しました。

画面下部の岩の色はもう少しやりようがあったと思う。

この滝は写真と現像の練習にはかなりいいですね。

 

かなり考えながら調整を行った題材でした、また撮影しに行きたくなる……。

 

03_11_twitter

【twtter用出力イメージ】

滝の色を青めに調節したパターンです、緑と青の彩度を強く持つことにより

小さい画面で見たときのインパクトや渓谷の雰囲気が伝わりやすくなるのではと。

最初の現像の方が自然で良いのではないかなと思います。

 

 

7.まとめ

完成版

ブログ用の写真はなるべく自然

コンテンツの文脈の中でどう見えるかを意識して、浮きすぎないように現像する。

 

twtter用は特徴を際立たせる

sns写真は広告と同じく0.5秒で視線が抜けていくと考え、

情報のデフォルメ、特徴の最大化を意識する。

 

上記の2つの考えのもとで現像を考えてみました、

twitter用と思って行った現像だと川苔山っぽさがあんまり出ませんでしたね……。

今回は現像の参考になればと思い記事を書きつつ現像を行ってみましたが

最終的なアウトプットを考えるということではかなり勉強になりました。

 

00_01_素材

そしてRAW現像の楽しさと便利さを再確認しました。

 

トリミングして構図を追い込んで、次回はトリミングしなくても良いように感覚を養う。

そのためのRAW、こういった使い方もアリなのかなと思います。

トリミングを積極的に行って、要素を整理する目を養っていきたいです。

 

DSC_1097

当ブログは基本的に「山とコースの紹介」だと思っています、

この山来たらこんな綺麗な景色が観れるよとか、

ここではこういう写真もとれるよといった「案内」が僕のブログの内容かなと。

 

DSC_0234

僕の視点からみた僕なりの登山案内なのですが、

なるべくみたときの印象に近い、自然な現像がしたいと考えるばかりです。

写真、文章構成、含めてひとつのコンテンツだとは思うのですが

写真が最も綺麗な登山ブログになれればいいなと思い、現像や構図の勉強を始めました。

もっと自然で綺麗な写真がとれるようになりたいものです。

 

今回の記事で登場した道具

SLIK 三脚 スプリント MINI II GM N 4段 旅行用三脚 106556

SLIK 三脚 スプリント MINI II GM N 4段 旅行用三脚 106556

 

トラベル用三脚の定番です、ネイチャーは無理な三脚ですが一般登山では活躍します。

 

Nikon 単焦点レンズ AF-S NIKKOR 28? f/1.4E ED フルサイズ対応

Nikon 単焦点レンズ AF-S NIKKOR 28? f/1.4E ED フルサイズ対応

 

僕が使っている単焦点レンズです、最新設計なので解像力が非常に高いです。

 

[マムート] リュック Trion Pro 35+7L 2510-02222 0917 smoke-sienna

[マムート] リュック Trion Pro 35+7L 2510-02222 0917 smoke-sienna

 

カメラと登山道具を入れているザックです、三脚を装着するならTrion proがおすすめ! 

 

 

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