【丹沢】丹沢主稜縦走、丹沢の最も輝く季節、シロヤシオ満開の縦走路を歩く試練の旅
2016年5月19日、丹沢主稜縦走をしてきました、最高標高は蛭ヶ岳1673m!!
丹沢主脈に檜洞丸を追加したいわゆるスタンダードな主稜縦走。
しかしその距離は20キロを超え累計の標高差は2500を超えるハードコア登山です。
丹沢を極めるために、ブラックハイカーたちが己の健脚を示すために
この主稜縦走は行われてるんじゃないでしょうか、誠にブラックな登山です。
そんな主稜縦走を今回は日帰りで歩いてきました、時期は丹沢が最も輝く5月。
シロヤシオで稜線が埋め尽くされ、丹沢のイメージが普段とは全く変わる最高の時期…
花の百名山にシロヤシオで登録されていてもおかしくないほどの花の多さは驚くばかりです。
シロヤシオの時期の丹沢はすべての人にお勧めしたい、
そう思える素晴らしい場所でした。
それでは丹沢を歩き尽くす、大満足の縦走の旅の始まりです。
陽光の元に乳児の如き輝きを放つ黄緑の紅葉が揺れている。
正真正銘の新緑というにふさわしいその色味、夏を前にして木々たちが芽吹き
山が息を吹き返していく瞬間に立ち会っている。
朝の青白い光を一身に受け止め、緑の光を大地に届ける丹沢の新緑。
その光の恩恵を全身に浴びながら、僕はこれから大倉に向かって歩く。
檜洞丸を手前にして白亜の花々が目の前を覆い尽くすような勢いで咲き乱れている。
爆発的な盛りを見せつけるその咲き模様は人でいう祭りの時期のようだ。
道の上にあるがゆえに、酒も飲まずに花を愛でることに集中する。
花と人との一対一の対話が其処には有り、静かな山の中で自然の恵みを感じる刻が
ゆっくりと過ぎていくのであった。
はい、今回は丹沢主稜縦走です、ついにやってきてしまいました。
主脈縦走からちょうど一年くらいでしょうか、再び丹沢の地に降り立ちました。
前回は登山ブログを始めてから半年ちょいの若造、今回は登山ブログを始めてから
一年と半年くらいの若造が登ります、昔の記事を見ると内容が薄くて恥ずかしいな…。
さて、この丹沢主稜縦走、主脈を終えた人間に次に課される罰ゲームとして有名です。
「俺丹沢結構歩きましたよ!」と言えるのは主稜縦走を終えてから
いつしかそんな思い込みに心を蝕まれ、ついに主稜縦走を実行することになってしまいました。
具体的なコースは檜洞丸→蛭ヶ岳→丹沢山→塔ノ岳と丹沢の主だった山を全部歩く
というものになります、コースタイムは10時間とか普通はかかるくらい…
健脚じゃないとお勧めできません。
5月という時期を選んだのは、檜洞丸がシロヤシオの最盛期という形になり
主稜縦走のルート上もシロヤシオツツジで覆われ花の山に、そして新緑も最盛期を迎えます。
一年の中で丹沢が一番美味しくいただける時期ではないでしょうか?
1.丹沢主稜縦走について
上にも書きましたが、檜洞丸をスタートし蛭ヶ岳、丹沢山、塔ノ岳という丹沢の
主だった山を全て歩いていくという縦走登山になります、スタートは西丹沢自然教室
ゴール地点は大倉バス停になります、登山時間が10時間近くになるので健脚の方にのみおすすめ。
丹沢縦走のアクセス
【電車】新宿→新松田 770円
【電車】新松田→谷峨 200円
【バス】谷峨→西丹沢自然教室 760円
【バス】大倉→渋沢 210円
【電車】渋沢→新宿 670円
往復料金合計 2610円 3000円以内でかつてない充実感とブラック感を味わえます。
バスの始発を心がけなくては帰れなくなる可能性があるので注意です。
丹沢縦走のコースタイム
西丹沢自然教室8:50→ゴーラ沢9:40→檜洞丸山頂11:35-11:45→
臼ヶ岳13:00-13:15→蛭ヶ岳14:20-14:35→丹沢山15:45→塔ノ岳16:35-17:00→
堀山の家17:45→大倉尾根登山口18:35→大倉バス停18:45
合計登山時間 9時間55分、約10時間に及ぶ激闘、驚異的アップダウン!まさに地獄!
大菩薩嶺縦走よりもはるかにハードでした…。
2.西丹沢自然教室から檜洞丸へ
2016年5月19日午前7時、新松田駅。
この日丹沢主稜縦走を完遂するために新松田に降り立った僕、テンションは超低い。
この時、これから始まる今日中に帰れるかわかんない久々にとんでもない長さの登山。
に多少震えつつ朝ごはんを食べて自身を鼓舞していた僕がいたのは間違いない。
丹沢とは言いつつも主稜縦走は「すんげぇキツい」登山に入ってくる。
黒戸尾根ほどとは言わないがきついのをわかっていて突撃するというのは心のカロリーを使う。
午前8時50分、西丹沢自然教室。
トイレなどを速攻で済ませ登山届けを提出したら登山開始。
今日の登山は時間的余裕がない、一切の休憩なしで突き進むレベルの覚悟が必要だ。
大室山が綺麗に見える丹沢、西丹沢の山々へは秋に行きたいところだ。
展望が全くないから秋以外の季節に登っても何も楽しみがない。
午前9時、檜洞丸ツツジ新道登山口到着。
これから約10時間、今日の楽しい楽しい登山のプレイボールだよこのやろう。
自ら進んで死地に赴く兵士の気分だ、微妙に乗り切れていない。
最高の新緑登山
一歩登山道に足を踏み入れれば気持ちは変わる、新緑に照らされた沢沿いの登山道。
木漏れ日に照らされた苔と落ち葉が染めたその道にすぐにやる気が吹き出す。
5月という新緑全盛期、檜洞丸の新緑はこれでもかというほどに美しい。
東北に行かなくても丹沢でブナの新緑をこれでもかというくらい見れるからいいいや
とこの時ばかりは考えてしまうほどに。
5月の緑は本当に美しい、丹沢は手軽に楽しめるレジャースポットとして優秀だ。
新緑を撮るのに夢中になってしまう。
追い越されつつ、歩き出したら追い抜きつつ。
ちょっと迷惑かなと思いつつも足早に山頂を目指すことにする。
今日はシロヤシオの最盛期ということもあり、西丹沢自然教室には夥しい数の
登山客が溢れかえっており、檜洞丸の登山道はシニアハイカーで埋め尽くされる。
だから彼らが上がってくる前に勝負を決めなくてはならない。
檜洞丸までの時間をいかに圧縮できるかに後半戦がかかっているのだ。
ツツジ新道はとても整備されており、新緑が非常に美しいので5月に是非オススメしたい。
午前9時35分、ゴーラ沢到着。
登山開始から30分ほどでゴーラ沢到着。
平坦な道なので大体の人はコースタイムよりも早くここに到着することができるだろう。
大きな石がゴーロゴロしてるからゴーラ沢なのかな、西丹沢特有の白い石でいっぱいだ。
流れてゆく水は冷たい、先行していた登山客のおじいさんが川に石を積んで道を作っていた。
石を投げ込んだ飛沫がすごい周りの人にかかってたけど大丈夫なんだろうか。
ゴーラ沢から檜洞丸へは階段があるのでそれを利用して登山道に復帰。
ゴーラ沢には道がないのでこの階段を探しましょう。
階段の先にはちょっとした鎖場が、鎖を使うほどのものでもないと思うけど。
ここから先は尾根っぽい道をひたすら上がってゆく、新緑で真緑に染められた
頭上の景色を見ながら一歩一歩標高を稼ぐこととする。
人も少なく静かな山歩き、時間も午前であれば本当に気持ちがいい。
午前10時15分、展望台地点に到着。
ここで休憩を取らずにそのまま山頂を目指すことにしました、休んでる暇がない。
ところどころ道の悪いところがあるので注意、不安な人は鎖をしっかりとつかもう。
標高を上げても新緑は美しい…、今日檜洞丸に来て良かったと心から思える。
5月の優しい日光であれば直接浴びていたとしても不快ではない。
爽やかな春の光がファインダーに差し込んでくる。
三葉躑躅が姿を現しました、標高が少しずつ上がってきた。
ところどころ岩が激しいところがあるので手を使って登っていきます。
ツツジ新道は新道の名に違わぬ最短距離の直登、ゆえにはしごあり九十九折あり。
つまり登りは結構きついということです。
満開のシロヤシオツツジ
はしごを上がった先にはシロヤシオが出現しました、すげー花が多い!!
すげー花が多い!!!
去年の高原山とは比べ物にならないシロヤシオの勢いをすでに感じている。
そしてこれは上に行けばより素晴らしいらしい…、最高か!
シロヤシオもまだ新しく緑色の花が多い状態、花が古くなると黄ばんできます。
咲きたてのシロヤシオはうっすらと緑がかっていて美しいのです。
シロヤシオトンネルをくぐり山頂を目指す…、のだが全然ペースが上がらない。
シロヤシオの写真を撮るので精一杯だ。
右も左もこんな状態、速度が上がるわけないよね?
シロヤシオがこんなに綺麗に咲くものだとは思わなかった、素晴らしい、素晴らしすぎる。
ゴヨウツツジの名の通り5枚の葉と花、均整が取れていてとても綺麗で上品。
場所によっては視界の奥まで全てシロヤシオで染まっていたりする。
旬な時期を捉えればこんなに素晴らしい思いができる、
今日という日は忘れられない1日になりそうだ。
シロヤシオの写真だけでずーっと撮影できる…。
ちなみに上の写真の背景、奥までずーっとシロヤシオ、お腹いっぱいになるレベル。
シロヤシオを撮影しようにもなかなか角度が決まりません、
多くの場合は下から見上げる構図になってしまうから。
これは運良く花が下向いて咲いててくれました。
こんなにシロヤシオが満開とか見たことありません、当たり年に来たんちゃう??
葉っぱも綺麗です、ていうか五稜郭みたいな形しててかっこいい。
もちろん三葉躑躅も頑張っています、こっちも咲きたてなのかみずみずしい。
シロヤシオの木しか生えてないんじゃないの?というくらいの登山道。
後ろを振り向けば奴がいる、今日は春霞も薄く富士山はとても綺麗。
ツツジを撮影していたら後ろからたくさんの登山者が、道が混んできましたね。
この時期の丹沢はすごい人でごった返すので要注意です。
しかし綺麗だなー、シロヤシオ。
檜洞丸の山頂にいつになったら着くのか不安になる、シロヤシオ撮影し続けてたら
山頂につかないんじゃないだろうか。
次から次へとこんな奴が出てきます、大量というレベルではない。
爆発という表現が正しいレベルでした。
木道が出てきたら檜洞丸の山頂はすぐそこです。
そして木道を歩いている間は足を休めることができる…、これがとても幸せ。
檜洞丸木道といえばこんな景色ですよ、左右にコバイケイソウがたくさん生えてるはず。
野菜畑みたいにバイケイソウが生えてますね、花が咲いている時を見たことはないけれども
その時期の丹沢はとても暑そうです…。
午前11時35分、檜洞丸山頂到着。
ようやく檜洞丸の山頂が見えてきました、スタート地点に降りたてるわけだ。
3.檜洞丸から蛭ヶ岳へ
檜洞丸の山頂で柿の種と水を補給、多くの人がここでご飯を食べて休憩をし
檜洞丸の登山を楽しんでいらっしゃいました、僕も正直ここから犬越路通って帰りたい。
しかし、男にはやらねばならぬ時がある、それが今です。
のどかな山頂よさらば、乾徳山から黒金山に向かう時もなんというかとても寂しい気持ちでした。
本当に、縦走路に降り立つまでは僕だけ罰ゲーム食らってるような気分です。
お天道様には見事な暈が、太陽よこれからの僕のいく末を見ていてくれ。
午前11時45分、蛭ヶ岳に向けて檜洞丸山頂を出発。
「シャーーーーーーッコンナローーーーーーッ!!!」と気合を入れてスタート。
目指すはあの一番左のとんがってる奴です、檜洞丸からのこの道をついに倒す時が来た。
言われなくても体力と時間は用意してきた、あとは気力が続くかどうかだ。
丹沢はこういう小技が効いているところがかわいい。
これもかわいい。
そうして檜洞丸から蛭ヶ岳に降り立ちました、まずは臼ヶ岳を目指します。
この臼ヶ岳こそがこの縦走においての要注意人物となることを覚えておいていただこう。
奴の標高は1460m、丹沢山地のもっとも奥深いところにいる、
蛭ヶ岳と標高差が200m近くある気がするがこれはこの際考えないことにする。
檜洞丸からは嘘だろおいというくらい降ります。
鞍部に下ってからの登り返しかーと呑気に考えていたのですが。
なんなの?どんだけ登り返しさせるの?アホなの?というくらい標高を下げさせられてご立腹。
鞍部のそこまで下ってからは比較的平坦な道が続きます。
こちら側もシロヤシオが満開、檜洞丸が顕著ですが蛭ヶ岳や丹沢山も満開でした。
シロヤシオが咲いているのは檜洞丸までかと思っていたので意外でした
こちらの縦走路にはもちろん人なんていないので、止まって撮り放題です。
あんまり止まってたら今日帰れなくなるから困るんだけどね。
ゆっくりと花や木を楽しむということであれば、檜洞丸から蛭ヶ岳へ向かうこの道はおすすめ。
ツツジ新道に負けないくらいのシロヤシオを見ることができます。
臼ヶ岳への厳しすぎる道
臼ヶ岳が刻々と近寄ってくるが、同時にアップダウンも激しさを増してくる。
そう、僕は臼ヶ岳の山頂よりも低いところに今いる、間違いなく。
間違いなく200mは下った気がするけどもっと降りてる気もする、考えたくない。
階段が出現する、ここにきて階段である。
足を温存したいなとかそういうチャチな事を吹き飛ばす潔い階段、やってくれた喃…。
ランボー怒りの階段を超えた先には崩落した尾根などアスレチックな展開が続きます。
安全なイメージのある丹沢においてなかなかスリリングです。
そして再び現れる階段、乳酸が…乳酸がもうすごいんです…勘弁してください!
午後1時、臼ヶ岳山頂到着。
なんとか今日の前半の大ボスまでたどり着きました、まだ半分来てません。
これから蛭ヶ岳へ向かうとか正気か、ていうかもう午後だ!
近づいてきた蛭ヶ岳、山頂まで真緑…丹沢にも森林限界があればいいのに。
蛭ヶ岳に着くのが何時になるのか不安でならない。
不安になりつつもシロヤシオの写真を撮る事はやめられない、どうしよう。
この日僕が見かけた僕以外に主陵縦走をしていた人は5人ほど、うち2人はトレラン。
残りの3人は蛭ヶ岳山荘泊まりのようでした。
僕も泊まりたいところですが、やらなくてはならないのは日帰り縦走なのです。
だから力を振り絞って蛭ヶ岳へ向かいます、ていうかまた降ってるよこれ。
1,460mの山頂から再び降る、一体どれほど標高を落としているのか、マジで考えたくない。
シロヤシオを上から見るというなかなかない機会に恵まれました。
檜洞丸方面では経験しなかったアングルに足を止めてしまう。
蛭ヶ岳に近くなってもシロヤシオの暴力は収まりそうにありません。
いい時期に来たけど、いい時期過ぎて足が動かないのは問題だ。
この日撮影に割いていた時間がもう少し短縮できれば9時間で歩けた気もします。
シロヤシオが綺麗すぎて無理だったとは思うけど…。
こんな咲きたてのシロヤシオを置いておくわけにはいかないでしょう?
シロヤシオを見るか降るかのどちらかになるわけですが…、
標高1300台に突入してないか誠に不安になります、不安なので高度計を見ませんでした。
鞍部を下り切ると谷筋の綺麗な景色が見えました、ここから先は登り返しに。
蛭ヶ岳への登り返しが始まった瞬間土の質が変わります。
さっきまでは茶色い土だったのに白い土に、つまりもろくて崩れやすいやつだこれ…!
途端に急登になりました、鎖を使わなければ登ることができないレベルの急登です。
しかも足元はボロボロ崩れやすいし…、これが蛭ヶ岳の本気か…。
鎖が整備された九十九折の登山道を登っていきます、足元が大分ガレてきた…。
足元がこんな状態なのでグリップが効きません、そして踏ん張りすぎると滑っちゃう。
慎重に歩かざるを得ない。
ふと後ろを振り向けば今まで僕が歩いてきた稜線と富士山が見事な景色を描いていました。
この稜線歩くとか「またまたご冗談を(笑)」となりそうだけど、歩けるものですね。
えーと、蛭ヶ岳山頂が遠いな…遠い…。
足が大分疲れてきており、昼食もとらずに進んできたためちょっとシャリバテ気味です。
水と柿の種を補給しつつ山頂を目指します、なかなかつかない上に
こちら側の登山道は足場が悪い、崩れているところも結構あります。
4.丹沢最高峰、蛭ヶ岳へ
振り向いて見えるこの景色はちょっと感動を覚えた、丹沢に残していた重要課題を
僕は今クリアしようとしている、とてもうれしい。
そして目の前に広がる青空と、ベンチで休む人々…山頂だ…。
午後2時30分、蛭ヶ岳山頂到着。
ついに蛭ヶ岳山頂に到着です、折り返し地点に着いた!!あとはもう大倉に下るだけです!
毎回泊まりたいと思いつつも機会がない蛭ヶ岳山荘をあとに大倉へ向かいます。
ここからは如何に時間を短縮できるかの勝負だ。
意気揚々と縦走路を見た瞬間に襲い来る絶望、目の前に立ちふさがる山塊、圧倒的…絶望!
丹沢山への一歩を踏み出す瞬間が一番顔が濁っていたかもしれない。
大倉までは丹沢山、塔ノ岳の二つのピークを越えなくてはいけません。
そのためには数度の大きなアップダウンを乗り越えなくてはならない、すでに体は限界寸前。
少し登るたびに体が休みを所望するのですが、精神力でなんとか登り続けます。
頑張らないと明日仕事に行けなくなっちゃうんで。
蛭ヶ岳手前のこの登りは丹沢の普通の登山道では唯一難易度の高いところと言えるだろう。
午後2時50分、鬼ヶ岩。
蛭ヶ岳の登りで大分体力を削られた関係上、速度が非常に落ちている僕。
コースタイム巻いて帰れるか不安になってきた。
登る→平坦な道→降る→登るを繰り返す、3回くらい登り返しがあるので注意。
主脈側もシロヤシオが満開、丹沢ってシロヤシオの時期が一番輝いている。
午後になり陽の光も黄色味を帯び、シロヤシオの花の色も少し変わってきていた。
檜洞丸方面に比べると蕾や咲き始めたばかりのものが多い、こちらの方が遅いのか?
形のきれいなシロヤシオがたくさん咲いていた主脈縦走路だった。
緩やかな登りであっても乳酸がたまりきり、疲労が蓄積した体には辛いものがある。
僕が23歳なら余裕で上れたんだろうけども、30歳という微妙なお年頃なので堪えるものがある。
一山越えたと思えば目の前にこうやって登り返しが待ち構えている、地獄かここは。
登山百人組み手をしている気分、実際の登山百人組み手はアルプス全山縦走なんだろうけど。
右を見れば雲に隠れることのない富士山、今日は最後まで見守っていてくれるらしい。
不思議と富士山だけは見飽きない、くじけそうになったら右を向いて気分転換する。
画面右の一番高い場所がきっと塔ノ岳だと言い聞かせて歩き続ける…、
塔ノ岳がえらく遠く感じる瞬間だ。
午後3時40分丹沢山到着。
陽が傾き始めて焦りを感じ始める午後4時近く、ようやく丹沢山に到着した。
ここまでくれば3時間強で下山できる、日没と同時くらいにバスに乗れそう。
すでに水が底をつき始めていたので、水分補給をすることにします。
丹沢山荘でお買い物だッ!
コーラを買おうと思ったのですが、気が付いたらカルピス買ってました。
限界まで疲れた体に入れるカルピスは神ピスウォーターでした、神旨い。
カルピスを飲みながら丹沢山の山頂付近で休憩、富士山ってこうやって見えるんですね。
ジュースを飲みきったらすぐさま塔ノ岳へ向けて出発、
再びシロヤシオが咲き誇る登山道を突き進みます。
蛭ヶ岳から丹沢山に比べると、丹沢山から塔ノ岳は随分と道が整備されています。
丹沢山から塔ノ岳までは木道などがある穏やかなアップダウンを繰り返して進みます。
午後4時35分、尊仏山荘裏に到着。
丹沢山を出発して約一時間で塔ノ岳に到着です…。
下りではなくほぼ平坦、アップダウンを繰り返すのであんまりタイムの縮まない場所ですね。
5.体力の限界、バカ尾根下山
午後4時40分、塔ノ岳山頂。
丹沢主陵縦走における最後のピーク、塔ノ岳に到着して一安心。
あとは大倉尾根を下るだけです…、長かったぜ、ここからも長いんだけどな。
塔ノ岳から見る富士山は今までここから見たどの富士山よりも幽玄な雰囲気に満ちていた。
夕方に塔ノ岳から富士山を見るなんてあんまり機会がない。
ベンチに座ってしばらく富士山を見つめていました、不思議といつまでも見ていられる。
今日歩いてきた山々、丹沢は本当に近くにあって山深い場所です…。
午後5時、塔ノ岳から下山開始。
ここで一回間違えて表尾根側に下山してしまったのですが、
100mほど進んで気がついたので事なきを得ました、ボーッとしていて非常にまずかった。
山頂に一度戻るのがめちゃくちゃ辛かったのは言うまでもない。
気を取り直して大倉尾根を下り始める、ここから先はガチで急ぐ事にしました。
ほとんど小走りくらいの速度で大倉尾根を下山していきます、だって日が暮れてきたんだもん。
写真では明るいのですが、実際はこれよりもかなり暗い。
早くお家に帰りたくてたまらない、そして足は限界を迎え今にも震え出しそうだ。
午後5時40分、堀山の家到着。
毎回小屋の前の状態が変わっているよねここ、未だに入った事はない。
日没まであとどれくらい持つかという勝負になってきた、夕日がさす大倉尾根をひたすら歩く。
向こうの尾根に太陽が隠れれば、この尾根が闇に包まれる事は間違いない。
ヘッデン登山だけは勘弁してもらいたいので、頑張ってほぼ走ります。
夕日の登山道っていうのも悪くはないんだけどね…。
足に限界がきていると蛭ヶ岳あたりで思っていた割に、
帰りの大倉は走ってるような速度で下山し続ける事ができました、日々の修練の結果かな。
午後6時15分、見晴茶屋手前通過。
ここまできたら残る小屋は二つほど、下山も1時間以内です。
そしてすぐに最後の小屋も通過し鬱蒼とした森の中へ突入してゆく…。
この辺は日の光が通らず、かなり暗い中の下山となりました。
とは言ってもヘッデンはいらない程度でしたけど。
午後6時35分、大倉尾根登山口到着。
久々の丹沢クリステルです、冬に一度出会ってるけど気分的には1年ぶり。
こちらはあまり写真が撮られる事のない丹沢キャサリン。
彼女たちを見てこんなに安心した事はない、今この瞬間だけは僕が二人を一番愛している。
下山する頃には空は残照の時間帯に入っていたようです、
空はこの日最後の青を僕にプレゼントしてくれました…。
午後6時45分、大倉バス停到着下山完了。
長かった…、10時間ちかく歩き続けてきた丹沢主陵縦走がこれで終わった…。
丹沢に残していたすべての課題をこなしたのだという安堵が僕を襲いました。
これで畦ヶ丸、大室山、檜洞丸から大倉、焼山、ヤビツと南北の主だった道を
すべて歩けた事になります、どうでもいい事なんだけどもすごく嬉しい!!
雲取山登山にて石尾根をすべて繋いだ時よりもはるかに満足度が高い瞬間でした。
日が暮れていく大倉バス停で勝利のコーラをいただく、疲れた体に染み入る炭酸…。
天使がこの世に授けた神の飲み物でした、僕の口から胃までが浄化された気がする。
この日は渋沢で電車に乗ったあと鶴巻温泉で弘法の湯に入り帰路につくのでした…。
それでも家に着いたのは23時前だったので割とホワイトな登山だった気がする。
6.丹沢主稜縦走を終えて
5月の丹沢、そこはシロヤシオが咲き乱れ新緑と花に彩られた最も鮮やかに賑わう山。
アカヤシオを見たあとはシロヤシオ、紅白の順番に花を見るのならば
丹沢は最もお勧めできるスポットと言えるでしょう。
遠くに見える富士山とシロヤシオを愛でながら登る檜洞丸はまさに旬の山。
命に満ち溢れた春の丹沢は素晴らしい場所です。
シロヤシオの季節は関東屈指の大群生と満開の花々を観れるので、是非お勧めしたい所です。
丹沢主陵縦走、本当に大変でしたけどもとても楽しく自信となる登山でした。
来年のシロヤシオの季節はまたここに来てもいいかなと思えるくらいに。
次こそは蛭ヶ岳山荘に泊まってみたいと思うのでした、完。
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