Red sugar

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【東北】霊山、年の瀬迫る東北の冬、南北朝の歴史を残す福島景勝地の旅

2016_12_30_霊山

2016年12月30日、福島県伊達市にある名勝「霊山」へ行って来ました。

標高は825m、紅葉時期には多くの人で賑わう福島のおすすめハイキングスポットです。

2017年がすぐそこに迫る大晦日前日、2016年の最後となる登山はしっとりとした形で行われました……。

 

2016年の最後の集大成が八ヶ岳エリアの天狗岳

まさにラスボスを倒しグランドフィナーレを迎えたような華やかさの後……

しっとりとしたエンドロールの後ろで、地味な山をひたすら登る……

雪に包まれた東北霊山の旅の始まりです。

 

 

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大気を削り取る鑢の様相を見せる切り立った崖が眼前に広がる。

蔵王を越えた雪雲がゆっくりと太平洋へと向かい、頭の上を掠めてゆく。

修験の道として栄え、奇岩が林立する岩の森はどことなくおどろおどろしい雰囲気を纏う。

 

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崖の下を歩き、幾つかの奇岩を潜り護摩壇跡へ向かう。

密教において明王を祭り、護摩木を燃やし祈祷していた場所を護摩壇というが

この鋭く切り立った岩の道に果たして本当にそのような場所があるのだろうか?

溶岩が冷えて固まった、ザラザラとした岩の隙間を縫い僕は山頂を目指した。

 

 

はい、今回は福島県阿武隈高地の北端に位置する名勝地「霊山」です。

古くは南北朝時代の南朝側の国府として、

天台宗の拠点としても栄えた歴史的な価値のある場所です。

標高こそは低いものの地質は溶岩、なのでザラザラとした岩が多く装具には優しくない場所です。

奇岩が多く林立し、ミニ妙義山とでもいうような見た目をしています。

 

12月30日という全くシーズン外に歩いてきたのですが、

ここは10月の紅葉シーズンで歩くのが良さそうですね。

 

この日は福島・宮城県特有の蔵王方面は雲っているけど太平洋側は晴れているという天候を

非常にわかりやすく体験できる登山となりました。

コース自体はそんなに長く無いため、紅葉ハイキングの時などは

気軽に歩くことができるのでは無いでしょうか?

 

 

1.霊山日帰り登山に関して

霊山へのアクセス

車でのアクセスがお勧めです、ナビポイントは「霊山こどもの村キャンプ場」がおすすめです。


 

霊山登山のコースタイム

霊山駐車場9:35→宝寿台10:05→護摩壇11:00→国士舘後11:10-11:20→東物見岩11:35→

蟻の戸渡り11:55→望洋台12:00→弘法突貫岩12:05→霊山駐車場12:40

合計登山時間 3時間5分 普通に歩けば2時間半で終わります。

 

2.雪降る大晦日の霊山登山

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2016年12月30日早朝、山形県のマックスバリュ。

奥さんのお家を早朝出発した僕は雪降る山形市内を走り高速へ、

途中マックスバリュで昼食などの補給を行います。

山形県内は圧倒的に冬、雪景色です。

奥羽山脈の日本海側は雪が降り、太平洋側は晴れるという図式は関東と変わりません。

太平洋側の福島が晴れていることを願い出発します。

 

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途中のサービスエリアで昼食です、ここは牛タンではなく喜多方ラーメンをチョイス。

浜通り側に行くのに内陸のご飯を食べるというのは不思議な感覚だ。

 

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午前9時20分、霊山駐車場到着。

一人で運転していたので途中の写真がありません……、気がついたら駐車場に到着していました。

霊山には50台くらい停まれる駐車場があります。

 

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完全にシーズン外だと言うのに幟が立っている……、しかも伊達政宗の。

霊山は福島県伊達市内にあります、宮城じゃないんだなこれが。

伊達といえば宮城の印象があったけどそんなことはないらしい。

 

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高原地図などに記載がなかったので、インターネッツを駆使して地図を用意していたのですが

現地にこのような立派な地図がたっていました、写真に納めて地図がわりといたします。

 

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丁寧に杖までおいてある、登山というよりハイキングスポットなんでしょうね。

麓に杖があるなんて関東では棒の嶺で見たくらいだ。

 

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登山道はこんな感じです、本日は時計回りに歩きます。

国司舘跡までいって蟻の背渡りを歩いて下山してくるルートです。

 

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地図を確認したらプレイボールです。

曇り空で寒くてテンション全然上がらないので無理やり叫んで歩きます。

 

因みにここで重大な事実に気がつきました、水を買ってくるの忘れました。

ノーウォーター登山です、いくら冬といえども体が持つのでしょうか?

これから大体4時間くらい、飲み水なし、スナック菓子はありという

水分ほしくてたまらない登山が始まります。

 

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うつくしまふくしま、霊山登山スタートイェーイ!!

 

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圧倒的に気分が盛り上がらない登山道です、紅葉時期以外は用がねぇ!

という主張をガンガンされている、しかも天気があまりよくない!寒い!!

 

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いくら福島と言えども雪は降ります、標高の低い霊山ですがうっすらと雪化粧です。

 

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もちろんノーアイゼンです、本来であれば蔵王を目指していたので12本しか持ってきておらず。

さすがに霊山歩くのに12本はいらんやろ……という事でおいてきました。

結果から言うとこの日は必要なかったです。

 

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ちょろちょろと水が流れています、紅葉シーズンなら「わびさび」があって良い景色なんでしょうね。

 

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霊山は見所ポイントが多いのでなるべくすべての道のりを記録しておきたいスタイルです。

まずは宝寿台から行ってみようか。

 

抜群の展望宝寿台

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午前10時5分、宝寿台。

どこも分岐指導からは2分以内に目的地につけるくらいの距離です、宝寿台はこんな感じ。

 

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スリリングな梯子を登って岩の上に上がります、短くても梯子って怖い。

 

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岩の上はこんな感じ、伊達市内と蔵王が見えます。

しかし今日は蔵王が雲におおわれているため全く見えない。

あの真っ白な雲のなかに蔵王や安達太良といった山々があると思うと……。

 

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下りの梯子もとても嫌な感じでした、いや、なれてる人は全然良いと思うのですが

どうもリアルな高さは慣れません。

二子山みたいにもう生きて帰るぞ!って言う覚悟をしないといけない山に比べると心構えが……

 

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地面はこんな感じで霜柱天国でした。

 

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サクサクふわふわで歩きにくい……

 

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何ヵ所も展望スポットがあります、どれも似たような景色なので宝寿台登っておけば他はいいかも。

 

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護摩壇というスポットが有名なので、まずはそこを目指します。

樹林の雰囲気は悪くないので紅葉時期のハイキングスポットであることは間違いないでしょうね。

 

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少し下ります、凹凸の少ないコースで、下るのはこの地点だけでした。

 

3.護摩壇から山頂へ

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護摩壇手前で絶壁が登場、結構壮観です。

 

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ここは極端に道が狭かったです、ザックが壁にぶつかりそうになりました。

ここだけちょっとマジな登山道といった雰囲気

 

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ちょいと天井の低い壁際を歩いていきます、柵があるのですが、左側は崖になっております。

滑落できる程度の崖で、落ちたら割りととんでもないことになりそうでした。

 

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霊山の岩は二子山みたいな感じですごいざらざらしてました、装具削りの山っぽいですね。

僕は山登りは好きだけど岩登り的なのはノーサンキューだったりします、怖いので。

 

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本日初の氷柱です、第一氷柱発見に心が踊りました。

それだけ撮るものがないとも言える。

 

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トンネルめいた崖っぷちをこえると今度は岩の隙間歩きです、結構狭い!

 

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一つ超えるとすぐにもう一つが出現、こっちは低い!バリエーションでおもてなししてくれます。

 

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午前11時0分、護摩壇到着。

護摩壇からは絶景ですよという事で早速展望を拝みにいきます、

蔵王連峰が見えるのならば確かに良い景色が拝めるのでしょう。

季節的に冬になれば蔵王がめったに見えることはないんですけどね。

 

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生憎の曇り空で奥羽山脈は雲の中です、日本海側の圧倒的曇天だけを感じる事はできる。

冬に入るとよくニュースで冬型の気圧配置という言葉を耳にしますが

登山的に超簡単に言うと日本海側が曇っていて太平洋側が晴れているということです、日本を縦に貫く奥羽山脈や上信越の中央分水嶺の日本海側で雲が止まります。

超ざっくり言いました。

 

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途中簡単な鎖場がありました、護摩壇から先はハイキングとは言いにくいですね、

ここはちゃんとした登山装備で来た方がいいでしょう。

 

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午前11時10分、国司舘跡地到着。

鎖場から少し歩くと折り返し地点である国司舘跡地に到着します。

こちら側からスタートすることも可能です。

 

歴史を感じる霊山の山頂

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昔はここに国府があったそうですが、今は碑が立つのみです。

南北朝時代の南朝の一大拠点とはいうけども、よくこんなところに拠点を作ったな。

 

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あまりにも撮れ高が無い……、このままでは帰れないということで分身撮影をしてみる。

一人アビーロードは難しいけど、今後こういったのは磨いていきたい。

 

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周辺は平らで、展望ポイントがいくつかあります、とても広い山頂と考えてもらえれば良いかと。

 

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国司舘跡地のすぐ後ろには駐車場があります。

トイレも併設されていますが、山のトイレといった感じです、★は0

ここに来て日が射してきました、心ばかりの日光に感謝しましょう。

 

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霊山の歴史がかかれています、南北朝時代の南朝の一代拠点として栄えた霊山。

一時期は3600人の僧侶がいたほどだとか、室町周辺の歴史は少しマニアックなので

覚えている人もなかなかいないかもしれませんが戦国時代へ続く序章なので勉強すると面白いです。

 

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国司舘跡地を出発すると次なる目的地、霊山最高峰東物見岩に向かうことになります。

東物見岩までは一直線に続く登り坂を歩きます、斜度は緩く穏やかなので辛くはないでしょう。

 

最高峰東物見岩へ

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午前11時35分、東物見岩到着。

太陽が出たり曇ったりする天候の中最高峰に到着です。

ここからは太平洋と仙台市方面、松島の湾等がうっすらと見えていました。

震災の影響なのか、海岸側は少し寂しい雰囲気です…、冬枯れが拍車をかけているのは間違いない。

 

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海の彼方に浮かぶ雲や仙台市方面を眺めながら、20分ほど晴れるのを待っていたのですが

山頂で晴れることはありませんでした、蔵王から次々と雲が流れてきては太平洋の空へと消える。

 

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午前11時55分、蟻の戸渡り。

東物見岩から降りるとすぐに蟻の戸渡りです、

蟻の戸渡りといいつつもそんなに細い道ではありませんでした。

冬に訪れる場合は滑って転ばないように気を付ければ大丈夫。

 

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こんな感じの道を歩きます、雪があると嫌な感じですが、

凍結などがない季節ならそんなに苦労することは無いでしょう。

道の細さよりも的確なアシストを決めてくる道沿いの松の枝が憎たらしい。

 

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霊山周辺の低山地帯は紅葉時期になれば綺麗そうです、

落葉樹が多かったのでとてもきれいに色づくのではないでしょうか。

 

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蟻の戸渡りを終えればあとは下山するのみです。

空も青空を取り戻し、気持ちのよい日光が差し込んで来ました。

 

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たまには雲が多くたっていいじゃない、雲がないと撮れないものだってあるんだもの。

 

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下山途中にも変わった見所が多いのが霊山です。

弘法突貫岩と言うくらいだから、素手で岩に穴をぶち開けたのかな。

 

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これがその弘法突貫岩、見た感じ普通の岩に見えるんだけど……。

 

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なるほど、こぶしサイズの小さな穴がいくつか空いていました。

弘法ともなれば岩に素手で穴を開けれるということか、愚地独歩もびっくりだな。

 

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午後12時40分、霊山駐車場。

雪にまみれた樹林の中を歩いて駐車場へ、弘法突貫岩から35分ほどで駐車場まで戻ってきました。

下山はサクッと済んでしまいましたね。

 

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霊山の麓には温泉があるため入浴しないわけにはいきません。

霊山観光は温泉に入って終わると言って過言ではないでしょう、

汗を流し体を温めて今日の登山は終わりです。

 

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午後になる頃には青空も広がってきていました、蔵王側は相変わらずの曇り空ですが

太平洋側は綺麗な青空が広がります、福島ののどかな田園風景を眺めながら、山形への帰路へ。

 

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帰りの山形自動車道はあいにくの通行止め、

足立ナンバーの車が横転し救急車が駆けつける事態になっていました、不憫でならない。

僕は国見で降ろされそのまま下道を利用して山形市内へ。

午後3時くらいだったのですが蔵王周辺は見事な霧氷に覆われている状態でした、

事故に気をつけようと思うと同時に霧氷に目を奪われた一瞬でした。

 

なんだかんだいろいろあった霊山の旅はこうして終わりを迎えてゆくのでした。

  

4.霊山登山を終えて

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福島県伊達市霊山。

印象で語れば妙義山を小さくしたような景勝地であり、

紅葉の時期は岩と紅葉の美しいコントラストを拝むことができる場所でしょう。

 

西を見れば奥羽山脈が、東を見れば太平洋が。

色鮮やかな時期に訪れることにより、感動は二倍にも三倍にも膨れ上がる場所でしょう。

関東から行くには遠く、ちょっと選択肢には上がりにくい場所かと思います。

福島、宮城に住んでいる方には手軽なスポットになるかと思いますので、

秋の一コマを彩る景勝地としておすすめできるのではないでしょうか?

 

霊山の地図は現地で入手!

 

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広角レンズを持って行ったほうがいい山です、何故か35mmだとしっくりこなかった…。

景色が地味に広い山なので広角レンズをお勧めします。

 

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風が強かったです、指先がキンキンに冷えていくのを感じたので手袋をしていました。

ウインタートレッキンググローブは快晴時であれば唐松岳や八ヶ岳でも使えます。

 

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冬は低山でもFITSの靴下を履いています、

靴が足に吸いつくようにフィットするようになるのでオススメです。 

 

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