【近畿】大杉谷、紀伊半島の秘境から大台ケ原を目指す、GW関西遠征の旅
2018年4月28日から5月1日、2018年のゴールデンウィークに近畿地方へ行って来ました。
目的は日本百名山の大台ヶ原と大峰山、そして日本三大渓谷大杉谷。
これらの魅力を極力味わうために、
・大杉谷と大台ヶ原、そして和佐又山
・大普賢岳から歩く大峰奥駈道と大峰山
という形で2つの山を繋いで歩くことにしました。
この登山旅は合計で4日間に渡り、近畿の山を東から西へ。
2018年で一番思い出深く、最大の旅となった関西遠征の記録です。
初日は日本三大渓谷に数えられる秘境大杉谷を歩き、
渓谷のど真ん中にある桃の木小屋を目指します。
新緑と、白い岩と豊富な水量を誇る清流の渓谷が続く大杉谷、
大台ヶ原の魅力は大杉谷から登ることにより最大化されます。
ここはまさしく大杉谷と大台ケ原、2つ合わせて一つの山といえるでしょう。
Redsugar関西遠征編一日目、大杉谷の始まりです。
日本三大渓谷「大杉谷」について
紀伊半島南東部にある大杉谷、大台ヶ原の東の裾野に位置しており、
約16キロに渡り渓谷沿いを歩く登山道が続く三重の秘境です。
大杉谷の渓谷を流れる清流【宮川】の元は大台ヶ原へと続いており、
大杉谷から入山し大台ヶ原へと抜けるのは一つの山を知る上でこれ以上ない良コースです。
大台ヶ原は山頂の特異な展望で評価されがちですが、日本有数の降水量を誇る雨の山。
その雨によって作られた大杉谷などの地形を味わえば、
より大台ヶ原が理解できるのではないでしょうか?
大杉谷は「雨の大杉谷」といえるくらい降水量が多い場所です、
そのためGWの時期や最適期である紅葉の時期に晴れ間を勝ち取るのは少し難しいかも。
その分、晴れた際にはエメラルドグリーンや真っ青に染まる
どこまでも透明な清流を楽しむことができるでしょう。
その輝き、まさに宝石が川を流れているかの如く。
ぜひその目で美しさをジャッジしてみていただきたいですね!
1.大杉谷と大峰山をつなぐ縦走計画に関して
関西遠征編、大杉谷〜大台ヶ原〜大峰山の工程です、ぜひご参考にしていただければ。
今回の大杉谷から大峰山までを歩く旅は公共交通機関を使用して歩くことを勧めます。
公共交通機関を利用すると三瀬谷から京都まで抜けれるのでおすすめです。
アクセスレシピ
【新幹線】品川→名古屋 11,090円(新幹線のぞみ:6時23分発)
【電車】名古屋→三瀬谷 4,180円(特急ワイドビュー南紀1号:8時5分発)
【バス】三瀬谷→大杉谷登山口 2,500円(要事前予約、エスパール交通)
【バス】大台ケ原→和佐又山 1,010円
【バス】天川川合→洞川温泉 370円
【バス】洞川温泉→下市口 1,280円
【電車】下市口→京都 1,170円
【新幹線】京都→品川 13,910円(新幹線のぞみ)
運賃合計 35,510円 東京方面からの場合は南紀1号に乗れるかが勝負
新幹線始発を利用し名古屋へ向かい、名古屋で南紀1号に乗れれば勝利が確定します。
三瀬谷に到着した時点ではバスの予約がされているはずなので、あとは歩くのみ!
コースレシピ
一日目
大杉谷登山口11:35→千尋滝13:20→猪ヶ淵14:30~15:20→平等嵓吊橋 15:45→桃の木荘16:20分
合計登山時間 4時間45分(標準CT5時間10分)
桃の木小屋へは16時までに到着したいところです。
二日目
桃の木荘5:40→七つ釜の滝6:10→堂倉滝7:45→粟谷小屋9:05~9:35→シャクナゲ平10:45→
日出ヶ岳11:25~11:35→大蛇嵓12:55~13:10→大台ヶ原ビジターセンター14:00着
和佐又バス停15:25→和佐又山ヒュッテ16:55
合計登山時間 9時間50分(標準CT9時間25分)
和佐又山のバス停からヒュッテまでは車道で1時間とされています。
僕は山道を歩いたためそれ以上の時間がかかりました。
三日目
和佐又山ヒュッテ5:10→和佐又のコル5:40→指弾の窟6:15→日本岳6:40→
大普賢山7:40→七曜岳9:30→行者還避難小屋11:10~11:35→弁天森13:25→弥山小屋14:55
合計登山時間 9時間45分(標準CT9時間20分)
行者還の水場は枯れていることが多いのでお水は多めに持ちましょう。
四日目
弥山小屋6:40→八経ヶ岳7:15~7:30→弥山8:00→狼平避難小屋8:50→栃尾辻10:35→天川川合12:25
合計登山時間 5時間45分(標準CT5時間35分)
この遠征でかかった費用
交通費合計 35,980円(交通費概要参考)
宿泊費合計 24,800円(桃木小屋8800/和佐又山8000/弥山小屋8000)
バッチ合計 2,200円(大杉谷/大台ケ原/大峰山2種)
食料合計 2,850円(ビールや途中で購入したパンなど)
洞川温泉 600円
合計 66,430円 すごく高いと思うかもしれない、でもそれだけの価値があると俺は思う。
この遠征で使用したレンズ
D850×2機
AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
AF-S Nikkor 28mm f/1.4E ED
AF-S Nikkor 58mm f/1.4G
各交通機関、小屋など問い合わせ先
2.関東から関西へ、はるかなる大杉谷へ
2018年4月28日6時5分、品川駅。
ついにこの日がやってきました、GW関西遠征!!
これまで中央アルプスより西側は一気に九重山まで記憶が飛んでしまう私でしたが。
この度念願の関西遠征でございます、向かうは大台ヶ原、大峰山!!
なのですが、この2つの真の価値を垣間見るために、
今回は大杉谷から大峰山までをつないで歩きます!!
さて、旅の始まりは品川駅、新幹線で行く登山とか地味に初めてです。
午前7時50分、名古屋駅。
品川駅を出発してやってきたのは名古屋駅、
GWの帰省ラッシュに巻き込まれ車内では立ちっぱなしでした、
荷物を床においていたから良いもののこの時点でだいぶ体力を持っていかれた気がする。
名古屋からは特急南紀1号に乗り換えて、紀伊半島南部の三瀬谷を目指します。
中部地方の電車に乗る機会なんてなかなかないのでテンションが上がってきたぜぇぇーー!
GWの大杉谷といえば、紅葉と合わせて混み合うシーズンの一つ。
この南紀1号も登山者で溢れているかと思ったのですが、そこまでの混雑はありませんでした。
おかげで2席を一人で使うことができるくらい空いてる車両に乗ることができました。
名古屋を出発して一路伊勢を目指して走り出します。
鉄オタではないのですが、全然知らない地域の電車に乗るってテンションが上がる。
この「旅に来たんだ俺は」という感覚、たまらなく好きです。
「うわー、景色が広ーい、山ねぇえええー!」
遠征するといいのは地方の景色を楽しめること、
近畿/中部地方の水田と平地はそれはもう新鮮な眺めです。
また、西側に行くと家の壁や瓦がその土地その土地によって変わるので、
そういうところを見るのもとても楽しい。
名古屋を出発した南紀1号は水田地帯を越えて紀伊半島へと向かいます。
午前9時50分、三瀬谷到着。
車窓から遠くに見える紀伊の山々を眺めているうちに
本日のスタート地点である三瀬谷に到着しました。
電車を降りるとぞろぞろと登山者の方が降りてくる……、
嘘だろこの電車のどこにこんなたくさん登山者が乗っていたんだ。
予想外の人の数に驚きを隠せない。
三瀬谷はJRの駅、近くに道の駅おおだいがあり、
大杉谷へのバスはそこから発着するようになっています。
大杉谷へのバスは基本予約制、桃の木荘の予約と合わせて取らなければいけないので、GW前に晴れを信じて予約するのはなかなか緊張するものがあります。
僕は幸い日程を少しずらしたことで、ギリギリの3日前でも予約することができました。
休みを早くとったり、一日遅くするなどは一考の余地があるかと思います。
南紀へ向かう電車を見送ります。 三瀬谷は海に近いものの海は全く見えない、
谷あいに長閑な市街地が広がっています。
この日は駅を出たらすぐそばにバスが待機していました、
全員予約者なので乗れないということはありません。
……一つ注意したいのは、このバスで景色を見たいなら進行方向左に座ること。
進行方向右側は展望が全くありません、南無。
・バスでの注意点
宮川が進行方向左手にあるため、座席も進行方向左、左車線側に座らないと視界がない。
事前の情報で道が河川の右側に通っていることから、
左車線側に座らなくては延々と山の斜面見ることになると思ってた僕は
なんとか左車線側の座席に滑り込みました。
バスは中型のもので、人が多いときは補助席が展開されます。
補助席に座らされた暁には外の景色が見えず、目隠しで現場に連行される芸人状態に。
グネグネとした道を大杉谷へ向かうのですが、
車窓から見える宮川の景色がとにかくいい雰囲気です。
山深い中どんどん潜っていくんだなぁと思わされる、
南アルプス南部に比べるとめちゃくちゃ道は整備されているけどね。
午前10時55分、大台ケ原ビジターセンター。
トイレ休憩としてビジターセンターに立ち寄ります、基本休憩はこの一回だけ。
ビジターセンターなどをちょろっと見学する時間があるので、とりあえず見て回る。
こちらがビジターセンター、皆さんトイレ我慢していたのかぞろぞろとトイレへ……。
大杉谷や大台ヶ原の細かい情報を得ることができるので、
ビジターセンターの中も見て回ってもいいのでは?
カウンターにあるこういった冊子、
その場所の一番の適期で撮影された写真が使われていたりするので、
次回歩く際の時期の選定などに役立ちます。
大杉谷は岩と木々と清流の地、そりゃ紅葉が一番素晴らしい時期だよね。
トイレ休憩を挟んで、登山口に到着しました。
登山口周辺にはすごい数のマイカーが……、
大杉谷を歩いてピストンで戻る方々がかなりいることがわかります。
基本日帰りの方は少なくて、桃の木荘で一泊して次の控える工程だったようです。
ちなみにこの日、帰るためにすれ違う人はほとんどいませんでした。
登山口にトイレはあるけど、ビジターセンター脇のもののほうが全然良いトイレです。
発電所のそばから大杉谷への入山が始まります。
午前11時40分、大杉谷入山。
ついにやってきました、大杉谷。
アルプスよりも遠い紀伊の秘境、どんな景色が広がっているのか楽しみです。
釣り人向けの注意が散見できる。
美しい渓流なのですが、お魚の放流も行われてるんですねー。
3.雨の谷、雨の山、大杉谷登山スタート
サル対策ゲートらしい、開けたら締めてねとのこと。
そしてこのゲートをくぐった瞬間から、大杉谷は本気を見せてくれます。
「おいおいマジかよ、最初からクライマックスだな!」
いきなり現れる鎖と渓流沿いの素掘り道、大杉谷はすごくよく整備されていて
危険なところには軒並み鎖が整備されています。
いきなり始まる鎖の登山道にテンションはうなぎ登りです。
これでもかというくらい鎖がズラズラーと並んでいる、
崩落している箇所などもなく歩きやすい道が最初からこんにちわ。
脇を流れる宮川の清流は既にコバルトブルーの輝きを携えている、
ここまだ下流なんだけどな……。
上流にはどんな景色が待っているのか楽しみでなりません。
新緑と渓流がひたすら続く、河原で遊びたい気持ちが……。
歩いてる道自体はご覧のような感じ、整備が行き届いた木漏れ日ハイクを楽しむ道ですね。
多くの吊橋を渡るのも大杉谷の特徴です、
このトレイルの整備、とにかくすごいお金がかかっているなと感じる……。
誰かがジャブジャブお金を使っているのがわかるといっていたが、確かに……。
それぞれの吊橋には名前がバッチリ。
大杉谷前半は渓谷という感じではなく、川沿いを遡上していくようなトレイルが続きます。
渓谷らしい渓谷が現れるのはどちらかというと二日目かなぁ……?
空を見上げれば新緑、岩と木々が特徴的なので、
紅葉時期はとても良い景色が広がることでしょう。
というか下手なアルプスより景色いいんじゃないかここ……。
時期的には藤の花が最盛期、至るところに藤の花を見ることができました。
そして藤があるということはハチもいるということ、黒い服装はオススメできない。
所々、川に降りれる場所があります、すごい透明度の清流を場所場所で楽しめる。
ここ、標高は全然低いんだぜ?
熊谷吊橋、大杉谷は山深いけどツキノワグマとかいるのかな?
僕は写真を撮りながら歩く関係上速度があまり出ないので、どんどん抜かされていきます
荷物も大峰山を越えるための装備が詰まっているので重いんだけどさ……。
おかげで気がついたらおそらく最後尾になっていた。
地獄谷吊橋、物騒な名前の吊橋が出てきた……。
本当に吊り橋がたくさん出てきます、木々に囲まれているので紅葉時期は良さそう。
吊橋を渡ったら鎖付きの道、道はアップダウンもなく非常に歩きやすい。
時折川の中にチョロチョロと動く魚影を確認できます、渓流魚の天国だろうなここ。
GWといえども近畿地方は夏のような暑さ、標高も高くはないので湿度が非常に高い。
幸い直射日光を浴びることがないコースですが、汗対策は必要です。
というか川沿いだけど湿度が高くて蒸し風呂みたいだった。
密林がどこまでも広がる、沖縄の山とかに比べるとグネグネした木も少なく、
紀伊独特の景色が広がっている。
コース上の倒木などはきれいに撤去されていて、
このコースがとても大切にされていることがよくわかります。
標高が高くないので木々の緑も青々としている、高山の新緑というか感じはしないですね。
奥に進めば進むほど、蔦や苔が溢れてゆく。
捻じれた木々の多さも熱帯に準ずるようなこの蒸し暑い森と、雨の多い気候を象徴するよう。
アルプスや上信越の山を歩いているのとは雰囲気が全然違う。
東北や関東、長野で感じてきた山の雰囲気とは全然違う世界が広がっている。
シダ、蔦、苔、渓流沿いの森の美しさでは随一の雰囲気。
登山口からずいぶん奥までやってきても、石段の道が整備されています。
家族連れの方々も多く、桃の木小屋へ家族でトレイルに来るっていうのはすごく良さそうです。
付近の山の標高がそんなに高くないのに、川の水は透明度が高く水量も豊富です。
本当に雨が多いんだろうなこの山は。
水深が深いところは水面が穏やかで、リフレクションがきれいに撮れそう。
ちなみに対岸に大学生グループが危なげに崖を歩いてましたが、マジやめて怖い……。
大学生が無事帰るのを確認したので、平たい石を投げてバウンド数を数えたり
しばし河原で休憩です、一人落ちるんじゃないかとドキドキしたわ。
穏やかな時間が流れますが、これ日が暮れるまでに小屋につけるか不安になるな……。
スタートがそもそも遅いので到着も遅くなる、ということで樹林の中を急いで登っていきます。
よく整備された景色がずーっと続く、サクサクと落ち葉を踏みしめながら先へ。
午後1時25分、日浦杉吊橋。
日浦杉吊橋に到着、大杉谷前半戦では一番大きな吊橋で記憶に残る存在です。
立派な支柱に名前がドーン。
結構距離があるので「揺れます」
それはもう四人歩こうものならギシギシいいますよ。
その昔大杉谷では70年代に吊橋事故があり、それ以来吊橋がきれいに整備されたとのこと。
この美しい登山道整備の裏には悲しい歴史があるようなので、その辺も事前知識として
仕入れておくとよいかもしれませんね……。
吊橋の高さはなかなかのもので、高いところが苦手な方は下を見ないようにしましょう。
リアルな高さなので結構怖いと思う。
このあたりからピンクテープが出現し始めます、結構山深いところまで来た感じがする。
大杉谷はとても整備されており、基本鎖を掴むことはないかもしれない。
いたるところに鎖があるんですけど、晴れていたこともあり使うことはありませんでした。
桃の木荘が近づいてきました、あと3キロなら二時間以内には到着です。
ちなみにここから渓谷らしい景色が始まるので、速度は一段と鈍化します。
絶対に2時間でつける気がしない。
細かい木々の向こうの景色がよく見えないけども、清流が渓流に変化していっているのがわかる。
ザーザー流れるこの滝、どこから??
4.千尋滝、猪ヶ淵、大杉谷ビュースポット巡り
大杉谷ビュースポット【千尋滝】
上を見ると山のてっぺんから滝が流れてきていました、
いや、向こう台地になってるんだろうけど。
山肌から水が吹き出したような姿はかっこいいぜ!!
山肌を流れる一線の滝【千尋滝】に見惚れる一幕でした。
大杉谷前半のビュースポットはこの滝にあるでしょう。
午後1時45分、千尋滝前休憩所。
休憩小屋が整備されているなんて豪華な…、本当によく整備された登山道です。
高尾山みたいにきれいに整備されていました、本当に歩きやすいコース。
この休憩所が最初の休憩ポイントで、次が猪ヶ淵になります。
ここでは水分補給程度の休憩にして、猪ヶ淵に移動するのがお勧めです。
僕は休憩する気は全くないので先に進みます。
滑落は多分しないのでは?というところにもついている鎖。
もはや装飾と受け取っています。
先行していた方々にもようやく追いつきました、
僕は写真を撮らなければそれなりの速度で歩けるようです。
猪ヶ淵が近づいてくると声が聞こえてくるようになります、
は、早く俺もそこにたどり着きてぇ……!
鎖が必要に感じる景色が現れたら猪ヶ淵はすぐそこ、
いきなり開けた河原に出るのでわからないということはないでしょう。
猪ヶ淵は1〜3メートルくらいのサイズの岩がゴロゴロ転がり、その脇を清流が流れてます。
目の前に門のようになった崖があり、その奥にはニコニコ滝という滝があります。
日が傾いているときに来ると綺麗な光線が見れるとか。
早く行きたいのですが、この辺の登山道は滑るので、焦ると転んでしまいます。
午後2時30分、猪ヶ淵到着。
大杉谷前半の見どころである猪ヶ淵に到着しました、休憩ポイントにもなっていて
皆さん思い思いの休息をとっているご様子。
僕もついに念願の大杉谷、猪ヶ淵に来れてご満悦です。
「ここは頑張って撮影するしかねぇ!!」
ということで猪ヶ淵の魅力を伝えるために頑張ります。
ご覧のように目の前には清流、奥にニコニコ滝、
日光が指す角度によってその見た目を変えてくれる素敵な場所です。
……ていうかニコニコってなんだよ、動画かよ、ドワンゴかよ。
ニコニコ滝からこんにちわ、redsugarです!とかって実況でもすれってのかよ。
とにかく変な名前の滝ですが、とてもお美しい滝です。
水深は深すぎるわけでもなく、膝をめくって遊んでる人がいるくらいでした。
写真で撮ると最高に神秘的ですが、現実は無情、バーナーの音とかご飯作る香りがする。
「こんなに清流で、こんなに上流なら飲めるんじゃないの?!
動物が上流で使ってるとは思うけど、でも飲めるんじゃないの?!」
ということで、勇気を出してゴクゴク飲んでみました、感想は「とても美味しい」でした。
「ディ・モールト、ディ・モールト良し!」って感じで興奮しながら飲んだよ僕。
ちなみにこの日、僕のハイドレーションにはさいたま市の美味しい水道水。
それで作ったポカリがメインの飲料、美味しい水がどうしても飲みたかったんですよね。
大杉谷の清流、誠に美味しゅうございました……(心配な人は濾過器を使おう)
水の色はいつの間にかエメラルドグリーンです、
宝石みたいな色した恐ろしくクリアな水が流れています。
透明度がひたすら高く、とにかく綺麗!ここは宝石の国ならぬ宝石の川か。
NDフィルターがないので頑張って低感度拡張や絞りを16にして撮影、
水を撮影しただけなのにこんなに色がつくってすごくない?
大杉谷の水の底力を見せてもらいました、これでも上流に堂倉ダムがあるって信じられる?
猪ヶ淵を堪能し、これから向かう桃の木小屋へ気持ちを切り替えます。
ダッフィー、ここからは帰れないよ、我々はもう進むのみだよ。
桃ノ木小屋へ向かう前に、猪ヶ淵を満足行くまで撮影しましょう。
この時点では14-24㎜とNDフィルターがないので、見苦しい撮影になってしまった。
猪ヶ淵を心ゆくまで撮影しなければならないという使命感から、暫く撮影を粘ります。
この記事を書いている今ならSIGMA14-24㎜ARTと
ND1000と16がザックに常備されているのに……ぐぬぬ。
少しづつ設定を変えたりして、現像も少しづつ変えたり、
非常に勉強になる撮影を堪能することができました。
三脚を立てる場所も多いので、ここは頑張って撮影する価値ありですね。
印象的だった門のような岩、清流に削られて真っ白な肌を晒している。
奥のニコニコ滝がもう少し見れれば最高なんだけれども。
5.日が暮れる大杉谷、桃ノ木小屋へ
午後3時20分、猪ヶ淵出発。
神秘的な猪ヶ淵に長時間滞在できて誠に幸せでしたが、長居しすぎました。
大杉谷は渓谷であるため日没が通常よりも早く、
ここで時間を使うとこの先の道でヘッデンを使う可能性が急速に高まるのでおすすめできません。
装備を整えて桃の木小屋を目指します。
渓谷沿いは太陽が一瞬しかささないのを忘れていました。
明るいうちに着ければいいのですが、
大杉谷は道がこの有様故に、暗くなってからではかなり危険。
猪ヶ淵を越えると高度感のある景色も増えてきます、
このへんから「足滑らせると死にますよ」っていうタイプの景色が増えてきます。
道もモノノケ姫の世界のように、湿った雰囲気が強くなり、滴る水滴が岩肌の苔を育てます。
滑りやすい部分も出てくるのが怖いところ。
猪ヶ淵から見えたニコニコ滝、完全に日陰に入ってしまっている。
滝の撮影ならこの山は天国だな……。
前半に比べると確実に苔が森を侵食してきている、
太古の原生林に迷い込んだような気持ちになってきたぞ。
午後3時45分、平等嵓吊橋。
大杉谷ナンバーワンの景観を持つ平等嵓吊橋に到着しました。
橋の長さ、周辺の開け具合、どれをとっても一級品に見える。
端から見る景色もなかなかよさそうだね……。
非常に頑丈な吊橋で、床板もよく整備されています、
周りの開け具合は吊橋を撮影するためのものと言われても納得しそう。
この平等嵓吊橋が大杉谷前半戦の最後の見どころといった感じになります。
周囲にはそそり立つ大壁、迫力がヤバい。
長い時間水と風に削られたのか、表面は独特な鈍い光沢を放っていました。
吊橋に迫る勢いでそそり立っているんですよねこれ……。
平等嵓吊橋を渡るとコースは今までの右岸から左岸に移ります。
行きのバスからずーっと川の右岸を歩いてきたのでこれは新鮮でした。
吊橋から先は石畳のきれいな道が続いており、
再び高尾山クラスのよく整備された道が続くようになります。
加茂助吊橋、特に展望はない吊橋だった。
ようやくここに来て大杉谷の看板が登場、なぜもっと入り口にないんだろう??
ルート的に大台ケ原から下山してくる人が見るためのものなのかな?
大杉谷は下りよりも登りで使うほうがいいように思えたけれども……。
看板を過ぎたあとは薄暗い谷間の樹林を進みます、
ここは落ち葉が多く足元のコンディションがわかりにくいので
調子こいて歩くと小石が転がって転ぶ可能性があります、注意です。
午後4時15分、桃の木小屋前。
その時はついにやってきた、この一日目の到達地点桃の木小屋。
目の前にある橋を渡ればそこはサンクチュアリ≪聖域≫。
人々の談笑の声が聞こえ、ほのかに美味しそうな香りが鼻孔を刺激する。
目の前にある立派な小屋の姿が最初信じられませんでした、滅茶苦茶立派すぎる。
こんな山奥というか谷間の地にどうやってこんなの立てたんだろう?
午後4時20分、桃の木小屋到着。
大杉谷桃の木小屋に付きました、ついに、ついに関西遠征が始まった……ッ!!
という実感が湧いてきたのはこの小屋についたときでした、
ここから先はもう進むしかありません、俺は止まんねぇからよ。
山が晴れる限り、大峰山の先に俺は行くぞ!だからよ、止まるんじゃねぇぞ…!
桃の木小屋は素晴らしい小屋です、まずサイズが大きく、風呂がついてて、目の前は渓流。
そして寝所もでかいというところが最高に良い。
チェックイン、一つ悲しかったのは小屋のサンダルがとても少ないこと。
今回荷物の量がやばかったので、自分のサンダルを持ってきませんでした、
全部小屋だから小屋のをお借りしようと思っていたのですが、
桃の木小屋は宿泊者がすごいたくさんいるので自由に使えるサンダルが一瞬でなくなります。
桃の木小屋について
宿泊費 9000円(夕食/朝食、朝食なしで弁当をつけるのも可能)
風呂付 入浴時間が決められてるので、早めに到着したい
小屋の内装はとても美しく、掃除も行き届いています、
食堂で団欒を楽しむ方々も楽しそうにしていました。
いや本当に雰囲気いいのよこの宿。
紀伊の山奥に来てこんないい宿に泊まれるなんて驚きです、何よりも風呂がある、風呂。
桃の木小屋は風呂がついています、沸かし湯でシャンプーとかは使えないけど、
温かいお湯で体を拭えるのは幸せの一言。
ここの風呂でご一緒になった方とは偶然にも天川村下山まで一緒でした、
裸の付き合いをした結果下山まで一緒の工程になるなんて┌(┌^o^)┐。
ちなみに今回は天川村に降りますが、大峰山は天川村方面がお薦めです、
トンネル側から歩くとつまらない景色が続くかと思いますが、
天川村からであれば狼平などの清流が流れる見どころがあるので……。
今回は車を運転することがないのでビールを自由自在に摂取可能、
標高も高くないから飲んでも気持ち悪くならない……!
ので渓流に足を突っ込みながら冷えたビールを飲む、
これ以上の贅沢があるだろうか?
いや、あるか……。
この状況によく冷えたトマトかキュウリがあれば最高なんだけど、持ってきてない。
小屋にも当然生野菜は売ってないので、空きっ腹にビールを流し込みます。
何というか頭がぼーっとするくらい気分がいいビールだった。
指の皮がふやける位足をつけていたらいい加減寒くなってきたので、宿に戻ることにします。
桃の木小屋の寝所はこのような奥に長い形になっています、
GW前半戦ということもあり布団は乾いてて寝心地は良かったです。
小屋の布団って連休後半は湿っていたりするじゃん、あたしあれ苦手なのよね。
小屋で大杉谷のバッチも無事購入、流石にここまで来たのでバッチくらいは購入します。
布団を敷いたらあとは飯食って寝るだけです、翌日の準備をしていて思ったのですが
もっと関西弁が聞こえてくるのかなと思ったら意外に聞こえてきません、
やはりGWの大杉谷は全国から人が来るんでしょうね。
―しかし、そんな僕の考えはこの直後に裏切られることとなる。
容赦ない関西の洗礼を浴びさせられるのだ。
装備を乾かします、今回はソニック手ぬぐいというマニアックなアイテムを持ってきましたが
正直ゲーム関連のグッズってつけてるだけで恥ずかしいなおい。
「ご飯の時間です、黄色の人は一階に……」
入館時に頂いたプレートの色で時間が別れているようですね、
僕は幸いにも最初のご飯組でした、ご飯の頃にはあたりはとっぷり日が暮れて
小屋のランプが暖かく光り輝きます。
夕食は山小屋の定番であるカレーライス、カツがついているのが特徴的です。
カレーとご飯はおかわりができるので、
一日分の消費カロリーをたくさん食べて補いたいところ。
―そしてここで相席になったご夫婦がついに僕の目の前で小芝居をはじめました……。
カレーを持って着席した夫婦。
旦那さんが持病なんでしょうか?ご飯の前にはお薬が必要なようです。
「あかん、俺薬飲まな……あれ?持っとる?」
奥さんはゴソゴソと小物入れからお薬を出します
「忘れるわけ無いやん、お水ある?ちゃんと飲み」
そして奥さんはお薬をつまみ上げて旦那さんに見せつけるような感じで言いました
「キメとく?」
なんだよこれなんで薬飲むのにキメとくなんだよ…しかもキメ顔するなよ奥さん。
しかも結構いい歳(40代くらい)いってんのになんでコントみたいなことしてんだよ。
これが関西スタンダードかよレベルたけぇよ笑わせに来てるよ……。
60センチ位離れた対岸で行われた薬の売人コントに思わずニヤリとしてしまいました。
これが一日目の終着点とは思いもよりません、いやぁ、西の山って最高ですね。
6.まとめ
大杉谷は大台ケ原への最高の序曲
ユネスコエコパークに登録される日本三大渓谷【大杉谷】
今回はその素晴らしい自然を心行くまで堪能する旅ができました、初日は桃ノ木小屋まで
となりましたが、二日目は桃ノ木小屋を出発して大台ケ原を目指します。
大杉谷自体はとてもよく整備されていて、家族連れも歩いているくらいでしたが
一発でアウトな場所もある渓流沿いです、入念な登山装備をしっかり整えてから挑みましょう。
とにかく清流が美しい大杉谷、日本有数の多雨地帯ゆえの水量と
水によって削られた岩々の美しい景色がこの先も広がっていきます。
吊橋事故など痛ましい歴史もあるこの大杉谷ですが、現在ではご覧のような立派な吊橋や
これでもかというくらい良く整備された登山道が特徴的です。
GWのトレッキングにはお勧めできるスポットなので、是非来年は考えてみてください。
新緑の時期を過ぎればシャクナゲで彩られる大杉谷、大台ケ原も花の山となり
より楽しさが増すことでしょう。
出来れば次回は紅葉の際に歩きたいものです。
人生最高の山は続く。
二日目以降の記事はこちら
大杉谷の地図はこちら
この登山で役に立ったアイテム
スポーツドリンクに粉雨を入れて飲み始めました、この登山でも粉雨は大活躍。
水分補給と同時にカロリーを補給できるので、結果的に疲れにくくなりました。
VANGUARD トラベル三脚 VEOコレクション カーボンファイバー 5段 小型 自由雲台 キャリングケース付き 150cm VEO 2 265CB
- 出版社/メーカー: バンガード
- 発売日: 2017/07/14
- メディア: Camera
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カーボン三脚のVEO2を導入しました、現在の僕の能力では装備できる限界の三脚。
D850+SIGMA14-24ならこちらでホールド可能ですが、強風では厳しいです。
20mほどの風が吹く岩手山では見事にぶっ倒れましたが、それ以外では問題なし。
今回の登山ではマムートのトリオンプロ50を利用しています。
小屋を利用した4泊までの登山であればこちらのザックで余裕で歩けるみたいです。
衣類が少なくなる方であれば、なおのことこちらのザックがお勧めかも。