Red sugar

山と写真とカメラが趣味の人にお勧めな登山ブログ、全国の山の登山情報と山岳写真情報を書いています

【南アルプス】悪沢岳、雲海×花畑×稜線の絶景が迫りくる、南アルプス南部縦走の旅

2018_07_14_悪沢岳

2018年7月14日、南アルプス南部の悪沢岳に行ってきました。

前回の記事からの続きとなる南アルプス南部周回縦走、

本日は二日目「悪沢岳満喫編」となります。

悪沢岳は前岳、中岳、東岳の3つのピークを持つ山で最高峰は3,141mの東岳となります。

その東岳こそが【悪沢岳】と呼ばれる山、前日の千枚小屋から千枚岳を経て

南アルプス南部の第一目標へと向かいます。

 

体力、気力、運が求められた南アルプス南部縦走、悪沢岳編は快晴の空の元

偶然と偶然が重なり、奇跡のお花畑を撮影することに成功します!! 

圧倒的な広さを誇るお花畑がカール一面を埋め尽くす悪沢岳。

2日かけてたどり着いた巨大なる山の頂点をお楽しみください。

 

それではいってみましょう、絶景を呼ぶ南アルプス南部の旅の始まりです。

 

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悪沢岳登山の概要

椹島を出ること二日目で到着した悪沢岳。

北アルプスの水晶岳にたどり着くのと同じくらいの体力を要求された非常にタフな登山でした。

南ア南部で赤石岳とともに登られるこの山は千枚小屋から歩くこと

2時間から3時間ほどで到着することが可能な山です。

 

その景色の特徴は「南ア北部と南部の中間にある山」というところです。

南ア南部の最も北に位置する百名山で、その北には塩見岳と蝙蝠尾根、

間ノ岳や仙丈ヶ岳といった山々が見えます。

南側には赤石山脈の主峰赤石岳……、南アルプスのボスは赤石岳といっていいでしょう。

堂々としたその姿はまさしく城、北海道のような巨大なスケールの中を歩くことができます。

 

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悪沢岳の夏の見どころは荒川小屋前のお花畑

赤石岳は聖岳から眺めたときの巨大な姿が鮮明に残っていましたが

悪沢岳はイメージがなくどんな山かワクワクしていました。

登ってみれば千枚岳からは非常に穏やかな道が続き登りやすい山という感想。

 

そして、僕にとって真価はここだなと感じれたのは

中岳避難小屋から少し下ったカールにある巨大なお花畑。

花の絨毯が敷き詰められたカールがいくつもあり、このクラスの巨大な花畑は

地平線まで花畑というレベルの大雪山裾合平以上の広さと感動を与えてくれました。

 

夏の悪沢岳は花です、斜面を埋め尽くす花々を是非とも楽しんでいただきたいです。

 

 

1.悪沢岳、赤石岳周回縦走について

畑薙第一ダムへのアクセス

【椹島行高速バスを使う方法】

「毎日アルペン号椹島行」を利用する方法が、登山バス利用としては一般的です。

また、静岡駅から静鉄バスの「南アルプス登山線」を利用する方法もあります。

毎日アルペン号

https://www.maitabi.jp/

南アルプス登山線

https://www.justline.co.jp/

 

【車で向かう方法】

かなり過酷ですが、関東からは車で畑薙第一ダムへ向かうことが可能です。

僕の例で埼玉県浦和から向かう場合は下記のような状態になりました

 

【高速】浦和南IC→新静岡IC 4,380円/5,380円(ETC/普通)

【一般道】国道362号線→音戯の里→県道60号→畑薙第一ダム

一般道の選択肢が県道27号を使用するものと、国道362号から回るものになります。

道のひどさはどちらも変わらないので、27号を使ったほうがいいかもしれません。

どちらも5時間から6時間の運転を見込むことをお勧めします。

 

今回の悪沢岳、赤石岳周回縦走のスケジュール

【1日目】 

椹島8:40→登山開始9:10→岩頭見晴らし10:25→標高1,500m11:00→

蕨段13:30→見晴台13:40-14:00→駒鳥池15:20→千枚小屋16:00

合計登山時間 7時間20分(標準CT約6時間30分)

縦走装備と夏場の気温を考えると標準CTで登るのはかなり困難ではないでしょうか?

 

【2日目】

千枚小屋2:50-3:50→千枚岳4:30-5:00→丸山6:05→悪沢岳7:10-7:50→

中岳避難小屋9:05→お花畑9:50-10:30→荒川前岳11:00→中岳避難小屋12:15

合計登山時間 8時間25分(標準CT2時間40分)

普通は中岳避難小屋に泊まることはないと思いますが、

標高3,000mを越える稜線上の小屋でロケーション最高のここに泊まるのが今回の特徴です。

 

【3日目】

中岳避難小屋4:00→荒川中岳4:20-5:20→荒川小屋6:30-7:25→大聖寺平8:00→

小赤石岳9:20→赤石岳9:50-10:15→赤石岳避難小屋10:45→富士見平12:30→赤石小屋13:00

合計登山時間 9時間00分(標準CT6時間10分)

南アルプス南部の稜線を最高のコンディションで堪能した一日です、

中岳から赤石避難小屋をつなぐように歩き、晴天で朝焼け夕焼けを狙う動きでした。

 

【4日目】

赤石小屋2:00→赤石岳山頂4:00-5:05→富士見平6:35→赤石小屋7:15→3/5地点8:10→

1/5地点8:50→椹島ロッジ9:20

合計登山時間  7時間20分(標準CT9時間25分)

赤石岳山頂からの下りはかなりハイペースで下れます。

特に赤石小屋から先は降りてみて思いましたが、

完全なバカ尾根なので登りでは絶対に使いたくありません。

全体的にコースタイムが遅めです、撮影装備を背負うとコースタイムを

巻いて歩くことが不可能だと判断する最初の登山となりました。

 

この登山で利用したお金

交通費往路   :4,080円/5,380円

交通費復路   :4,080円/5,380円

ガソリン代   :約4,000円

バス      :3,000円

初日朝食    :750円

バッジ2つ   :1,000円

宿泊費(千枚小屋):6,100円(夕食+お弁当+寝具+トイレで9,000円からバス代を引く)

宿泊費(中岳小屋):7,000円(夕食+素泊まり+寝具)

宿泊費(赤石小屋):8,100円(夕食+宿泊費+トイレ)

行動食      :4,100円

温泉       :510円

合計 約43,000円~45,000円

バス料金が宿泊費のチケットになるなど、結構トリッキーな山域です。

 

この登山で使用したカメラとレンズ

2018_07_14_悪沢岳 | Flickr

NIKON D850+AF-S NIKKOR 28mmf1.4E

NIKON D850+AF-S NIKKOR 20mmf1.8G

 

南アルプス南部縦走のシリーズ記事はこちら

一日目

三日目

四日目

 

 

2.千枚岳、南アルプス南部随一の展望台から眺める富士山と夜明け

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午前3時00分、千枚小屋。

おはようございます、まだ深夜の千枚小屋のテラスです……。

2時に起床し、水を飲みながら準備をしてようやく身体が動き始めたredsguarです。

 

今日は悪沢岳を越えて荒川小屋位を目指すけど、まぁあと3日あるし中岳でもいいかな

なんていうことをぼんやりと考えながら空を見ていると……富士山が見える!!

 

千枚小屋の立地は富士山を目の前に捉える場所にあり、

夜にカメラを三脚に据えて撮影するとこんな感じの景色が撮れます。

 

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水は北アルプスに比べると潤沢な千枚小屋、歯を磨き顔を洗い水分補給を済ませます。

早い人は2時30分には出発、僕は3時に出発し千枚岳でご来光を見ることにしました。

 

徐々に東の空が明るくなっていることを確認しながら登っていきます。

 

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暗い登山道をヘッドライトで照らしながらゆっくりと登っていきます。

真夏の南アルプス、涼しげな空気が湧き上がり、稜線に近づくとゴウゴウと風が音を立てます。

地平の底からだいだい色がゆっくりと湧き上がり、青い空の面積を奪おうとする。

 

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夜は気にも留めなかったけど、甲府方面は大雲海じゃないか……。

空には少しの雲と、地平を埋め尽くすほどの雲海、そして顔を出す富士山。

今日は素晴らしい朝焼けを見ることが出来そうです。

 

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午前4時20分、千枚岳山頂。

ナイトハイクということもあり、速度を上げることができないまま千枚岳へ。

最期のほうは日の出に間に合わそうと必死で登ってしまい汗をかいてしまいました。

千枚小屋から千枚岳までは登り一辺倒、夜登るのであれば早めの出発がお勧めです。

森林限界を越えてからも結構上るので大変でした。

 

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ピンク色に染まる朝、雲がピンクと紺色の強い対比を見せていました。

こんな素晴らしい景色が見れる朝、そうそうないんじゃない?

そう思わせてくれる、大勝利といっていい景色が広がっていました。

 

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千枚岳山頂では何人かの登山者が朝焼けを待つために集結していました。

ここは南アルプス南部、数少ない、5人ほどの登山者が朝日を眺める。

本当に静かでいい場所です。

 

若い時にさ、失恋とかして心に傷があるときはさ、こういう場所で朝日を眺めながら

感慨にふけって……それでも朝は来るんだなって思って涙を拭いて次の山に行く。

なんていう経験も……、ないない、あるわけないそんな映画みたいな奇麗な絵面。

眼鏡かけたジャガイモ顔の兄ちゃんが鼻水垂らして泣いて終わりだ。

 

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空の色は刻一刻と変わり、いつしかピンク色は消えて、青と黄色の世界へ。

そして南アルプスの山々へ迫りくるような大雲海があたり一面に広がります。

 

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頭を突き出した富士山が、夜明けを今か今かと待ち続けているかのような

とても静かな静寂な時間が流れていました。

 

3.ご来光、青い空が金色に染まり僕の一日が始まる。

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午前4時45分、ご来光。

空を眺めながらパンを食べ、カメラを握りしめてこのご来光を待っていた。

北岳登山の際に見たご来光よりも美しい、大雲海から登る太陽が僕の目の前に現れます。

普通であれば歓声が上がるのでしょうが、いつの間にか登山者は3人ほどとなり

皆無言で太陽を感慨深そうに眺めているのでした。

 

千枚岳は南アルプス南部悪沢岳の東側にあるということもあり、

甲府盆地方面の眺望に大変優れた山です、山頂碑のあるポイントは雲海撮影には

かなり良い場所なのかもしれません。


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雲海と富士山を眺めるRedsugarの図。

いや、はるばる南アルプス南部までやってきました、本当にいい景色だぜ。

 

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日が上がり切るまで、ずーっと見ていられるほど美しい景色でした。

山頂はハイマツに覆われており、視界を遮るものが何もありません。

 

温かいコーヒーを飲みながらこの日の出を楽しめればいいんだろうけど。

世界観のある景色をただひたすらに眺め続けていました。

 

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写真を撮りにほかの登山者の方が登ってきました、その姿が大変絵になるので一枚。

 

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午前4時50分、撮影を続ける。

この日は雲の形が本当に素晴らしく、日が登ってからも気持ちのいい景色が広がります。

こんなに条件のいい雲海と朝焼けはそうそう見れないのではないか……。

 

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太陽が昇り黄色い光があたり一面を照らします、一気に気温が上がったような

暖かさに包まれてウトウトしてしまいそうです。

 

それにしても、これだけの逆光なのにゴーストがほぼ発生していないのがすごい。

このシーンで利用しているレンズはAF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED

というものなのですが素晴らしい逆光耐性です。

 

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空も金色の光に照らされ、山肌からは水蒸気なのかふんわりと靄のような霞が沸き立ちます。

景色のすばらしさ、雲のすばらしさをどう言葉で伝えたらいいんだろう。

饒舌な、雲ソムリエになりたい。

朝日も十二分に楽しんだので、そろそろ出発と行きましょうか。

 

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午前5時00分、千枚岳出発。

千枚岳の標高は2,880m、悪沢岳までは標高差200m~300mといったところですかね。

この千枚岳に登るのもかなりタフでした、椹島から何時間かかったんだよっていう。

 

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三角点にタッチして、出発です。


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目指すは眼前にある悪沢岳のピークです。

千枚岳からは穏やかに見える悪沢岳ですが、

3つのピークをすべてを踏むためにアップダウンを繰り返さなくてはなりません。

 

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千枚岳、素晴らしい景色をありがとう。

小屋から続々と登山者が上がってくる千枚岳を後にして、悪沢岳に向かいましょう。

朝の金色の光に照らされて、輪郭が金色に輝く前景の山々と雲海が本当に美しい。 


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悪沢岳に気をとられていましたが、南側には赤石岳の巨躯がボウッと浮かび上がっていました。

北岳、間ノ岳と比べても大きいと感じてしまうような圧倒的な存在感を誇る山です。

南アルプスは正式名称を赤石山脈といいますが、その名を冠したボスの山です。

 

4.悪沢岳、南アルプス南部一座目を目指せ

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金色の朝日を背に受けて、悪沢岳を目指します。

千枚岳から悪沢岳の稜線は森林限界でハイマツと岩が主成分といった感じ。

 

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千枚岳からはいったん鞍部に下り、次のピークである丸山に登り返します。

この鞍部に下るというのが日陰でちょっと危ないので注意です。

 

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すっかり日も上がり、赤石岳も立派な姿を見せる。

正面の赤石岳は小赤石岳のピークで、本体は奥にある山です。

悪沢岳側から見ると少し小さく見えますが、聖岳方面から見ると超巨大ですよ。

 

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梯子を下ります、これが垂直なうえにちょっとがたついてて非常に恐ろしかった思い出。

装備も軽いわけではないので難儀します。

 

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花の山悪沢岳の片鱗はすでに見え始めていて、千枚岳を越えてからというもの

あたりにはところどころお花が……。

 

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しかし、この山を登っていると花にはあまり意識が向かないかもしれません。

とにかく巨大な山と、美しい稜線と、富士山が見えるのですから……。

 

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画面右上のピークを越えて悪沢岳に向かいます。

鞍部の部分に岩が多く歩きにくいのですが、それ以外のコンディションは良好。

 

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午前6時05分、丸山。

中継地点の丸山に到着しました、丸山って名のつくところといえば西穂高。

しかし、南アルプスにも丸山は存在するのです。

その名前の通りなだらかな山頂た特徴的な丸山、千枚岳じゃなくてここで休憩でもよいかも。

 

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「往くぞ悪沢岳!!」

かっこつけようと自撮りをしてみますが、三脚がばっちり写ってますね。

太陽を背負っているのでこのようなことになってしまいました。

 

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南アルプスの奥地ですが、写真を見るとわかるように道はとてもきれいです。

流石百名山、よく整備されているけど、ここまでの樹林を思い出すと……。

 

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天気がいいため北アルプス方面が良く見えます。

アルプスの南部からでも槍ヶ岳などしっかり見える、本当にシンボリックな山やで。

毎回思うんですけど、乗鞍岳と北アルプス微妙に離れてるな……。

 

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緩やかな坂を登り、岩場が多い鞍部へとたどり着きました。

ペイントを見逃さないようにして進んでいきます。

北岳から間ノ岳に行くときよりは荒れた感じの道が続いてます。

 

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画面中央奥のピークが悪沢岳山頂です。

近いように見えて結構遠いのが山の景色。

 

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道端のいたるところに巨大な岩が突き刺さっています。

徐々に登りゆく光に照らされてコントラストがばちっとした岩肌がまぶしい。

 

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ペイントがめちゃくちゃしっかりしている山頂手前。

これを登り切れば山頂ですが、縦走二日目は身体が重い……ッ!!

そのためすいすいと登り切るようなことができません。

 

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一日目の千枚岳登山で足を削られつくしたということもあり、

後ろからやってくる登山者にどんどんと追い抜かれていきます。


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「見えてきたぞ……、悪沢岳……ッ!」

この写真を撮影したときに「まだまだやんけ」と思ったことを鮮明に思い出します。

悪沢岳は三つのピーク、千枚岳から登ると最初に現れるのが大ボス悪沢岳3,141m。

 

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上まで行くの大変だなと思いつつ、後ろを振り返るといい景色が広がっていました。

こういう登山道と富士山とか、奥に霞んだ山がある景色はいいですね。

もっと奥行き感と臨場感のある写真を撮影してみたいものです。


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山頂手前のその岩場はまさしく巨岩のアスレチックッ!!

そこはトムラウシロックガーデンを彷彿とさせる小宇宙ッ!!!

大げさに言いましたけど、悪沢岳手前の岩の登山道はちょっと歩きにくい。

登山をやっている人からしたらすごく楽しい道で、皆さん和気あいあいと登っていました。


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山頂が見えてきました、先に登頂した方々がご飯を食べているようです。

早く登りたいんだけど速度が全然上がりません。

 

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悪沢岳山頂付近です山頂は岩が積み重なり、足場が多少不安定。

浮石を踏んで派手に転倒しないように注意して進みましょう。

 

下ばかり向いて歩いていると道を踏み外して浮石を踏みます、前を向いて歩きましょう。


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ようやく登頂することができた悪沢岳、聖岳以来の念願の南アルプス南部に感動です。 

 

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午前7時10分、悪沢岳山頂

南アルプス南部縦走二日目にしてようやく登頂できました、悪沢岳。

そして、念願の南アルプス南部の山、聖岳から眺めた憧れの山域にやってくる事が出来ました。


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ダッフィーも無事登頂です、ダッフィーの頭の帽子がそろそろとれちゃいそうで

引退も近いのではないだろうかと思っています。

背景に富士山もばっちり(南アルプスの百名山を歩いている場合富士山は大体見える)

 

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悪沢岳に到着してようやく休憩です、普段から休憩のタイミングに困るのですが

山頂は安心して休憩できるからいいですね。

朝ごはんは千枚小屋謹製のお弁当、おにぎりが複数個と梅干が身体にしみる。

特に登山中は塩分が貴重なのでこれはうれしい。

 

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悪沢岳山頂からの景色、すごくいいなと思ったのは北部の景色です。

画面中央目の前にあるのが塩見岳、その奥には間ノ岳や仙丈ヶ岳が連なります。

塩見岳方面に見えるひときわ目立つ蝙蝠尾根がめちゃくちゃ気持ちがよさそうな景色で

二軒小屋から歩いてみたいなぁという気持ちにさせてくれます。

 

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画面右側に塩見岳方面。

画面中央の少し山肌がはげた部分にある小屋が小河内岳避難小屋ですね、

とても立地がいい場所にある避難小屋で、是非とも泊まってみたい避難小屋です。


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悪沢岳から見る中岳、前岳、画面左側にあるのが赤石岳です。

目の前の中岳に行くためには鞍部をグワっと下ってからの登り返しです。

正直勘弁してほしい。

 

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中岳の山頂付近に避難小屋が見えます、中岳避難小屋。

悪沢岳の稜線の絶景を眺めながら寝泊まりができる好立地の小屋です。

千枚小屋から登ってくる登山者のほとんどは二日目は荒川小屋に向かうため、

中岳避難小屋って穴場だよなと思いました、7月の土日なのに一人布団一枚で寝れます。

写真撮影などで行くならここに泊まるのもアリではないでしょうか?


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悪沢岳でも自撮りを欠かさない、前回歩いた北岳方面を眺めながら

まだ歩いたことのない塩見岳周辺に思いを馳せます。


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富士山方面の眺めは相変わらず雲海広がる甲府盆地って感じです。

悪沢岳山頂付近は岩が積み重なった広くなだらかな山頂。

広いとは言っても間ノ岳みたいな広さではなく、岩がデカく歩き回るのは難儀します。

 

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午前7時50分、悪沢岳出発。

悪沢岳をしっかりと楽しみ、山頂を後にすることにしましょう。

今日は荒川小屋に行くのか、それとも中岳避難小屋か、この時点ではかなり悩んでいます。

日程的には三日目に赤石岳に登頂することは決まっていたので、

どちらに泊まっても良いなというテンションでした。

 

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悪沢岳は赤石岳方面にお花が多いのですが、悪沢岳山頂ももちろん花の宝庫。

シオガマなどいろいろな花がそこかしこに咲いています。

 

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ハクサンイチゲやチングルマなど、高山植物の定番ももちろんご用意されていました。


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さて、登り返しです。

見た感じ100mほど下って100mほど上がるくらいでしょうか?

中岳避難小屋に泊まれば、朝焼けを悪沢岳から見ることも可能です。

(今回の縦走だと引き返すことになるんだけどね)

 

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午前中の傾いた日の光の関係上出だしがやっぱり日陰、一直線に下ります。

 

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途中一部細い道もアリ、上から見ているだけでは気が付けない道でした。

 

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鞍部からは塩見岳方面がくっきり、悪沢岳からは谷筋が一直線に塩見に伸びていく。

悪沢岳がスタートの川はすべて太平洋に向かうらしく、この川も天竜川とかにつながるのかな。

 

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縦走二日目、足が疲れていることと、絶好の場所に位置する中岳避難小屋に泊まってみたい

そんな気持ちがどんどんと高まってくる。

山頂に近い山小屋って本当に楽しいんですよね、雲取山避難小屋とか最高に楽しいし。

 

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振り返ると第一ピーク悪沢岳、北岳を間ノ岳方面から見るかの如く三角形になりました。

千枚岳方面からはこんな鋭角な三角形には見えなかったのでびっくりです。

 

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悪沢岳から登り返して、ようやく命のオアシス中岳避難小屋がみえてきました。

あたりは植生保護のためのネットが張り巡らされており、

小屋の規模の割にすごく整備されているようでした。

 

5.中岳避難小屋、絶景が見える最高の小屋にて

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午前9時05分、中岳避難小屋。

悪沢岳山頂から約1時間ほどで中岳避難小屋に到着しました。

到着すると小屋番さんが一人、小屋の整備をしています。

この小屋番さん、めちゃくちゃいい人で今までの登山で出会った山の人では一番好き。

 

20180714-DSC_2121

休憩しながら小屋番さんととりとめもない会話を楽しみます。

すると今日はまだ宿泊者はゼロ、午前9時なんで当たり前です。

小屋番さんとの会話が盛り上がり、感情で「ここ良いな」と思えたので

今日は荒川小屋ではなくこちら中岳避難小屋に宿泊することに決めました。

 

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ニコニコしながら小屋番さんに「今日泊まります!!」と伝えて代金を払い

トイレの場所などを教えてもらいます、トイレはトイレ岳標高3,060mへ。

(小屋のすぐそばにあります)

 

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小屋番さんが僕のカメラを見て、写真が趣味だということがわかると

顔に笑顔を浮かべながら花畑のことを教えてくれました。

「お客さん、本当に運がいいですよ、めったに見れないものが今日見れます」

その場所は悪沢岳から荒川小屋へ向かう場所の途中……。

 

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悪沢岳は花の山。

荒川小屋方面にある巨大な花畑ですが、植生保護のため7月中旬には防護柵が張られる

そのため、花の全盛期はネット越しの花を見ることが普通……。

なのですが、僕が歩いたこの日は前の週が雨で天気が悪く

防護ネットを張りに来るボランティアの方々の到着が遅れているとのこと。

 

そして、花の開花が例年よりも2週間早く、今が満開。

つまり、防護ネットのない花畑を見ることができる貴重なタイミング、とのことでした。

 

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その言葉を聞いて僕は急いで花畑へと向かいます、何故なら雲が上がってきているから。

その花畑は中岳避難小屋から30分ほど下ったところにあります。

悪沢岳は複数のカール状の地形があり、花畑はそのど真ん中にあるんだとか。

 

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「花畑よりも、荒川小屋まですごい下るんだな……」

一直線に降りてゆく道を見て、赤石岳までの道が大変困難な道というのを確認しました。

そしてその手前に広がる花畑、一直線に伸びる黄色い帯が花畑です。

 

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「ん? これが花畑」

最初の花畑は正直大したことがありませんでした。

 

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道端に飛び出たハクサンイチゲ。

確かにあたりを見回せば高山植物の花を容易に見つけることができる。


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午前9時50分、お花畑到着。

最初のお花畑から少し下るとそれは現れました、斜面が黄色く染め上げるお花畑。

赤石岳方面に向かってカール一面に花が咲いています。


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黄色い花が多い悪沢岳の花畑、ジグザグに張り巡らされた坂道の左右に秘密の花園が広がる。

花畑と赤石岳だなんて、最高の景色じゃないですかこれは。

 

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花畑はカールの底まで続いているらしく、降りていけばそのまま荒川小屋に到着します。

お花畑のど真ん中でカメラを片手に思わず景色に見とれてしまいました。

 

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景色の広大さで言えば北海道の山に似ているなと感じる南アルプス南部。

花畑のはるか先に巨大な赤石岳の姿を望みます、明日はあそこまで行くのか。

この時点で、翌日赤石岳避難小屋が100人を超える宿泊者で

ごった返すなどとは夢にも思っていませんでした。


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斜面を見上げると顔を出した花だけが見えて、

まるで斜面すべてを花が埋め尽くしているように見えます。


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素晴らしい圧巻の景色でした……、こんなにきれいに花咲いたカール見たことないよ。

本来であれば手前に鹿よけネットが張られ、こんなきれいに花畑を見ることは叶わないそう。

管理人さん曰く、花の全盛期と防護柵がない時が重なるのは本当に珍しいとのことでした。

 

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すこし進むと……、見えました荒川小屋です。

赤石岳と悪沢岳の鞍部にあり、新鮮なお水が小屋の前にジャバジャバと流れる

南アルプスの天然水飲み放題的な山小屋です。

テントサイトも過ごしやすそうなうえに、眺望もよいので拠点として楽しむのが良いかも。

 

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光がいい感じに差し込んだハクサンイチゲなどを撮影して、花畑を楽しんだら

山を登り返して荒川三山の中岳、前岳に向かいたいと思います。

来たからにはすべてのピークを踏んでいきたい。


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稜線に戻ってきました、お花畑とは打って変わって岩の世界へようこそ。

 

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稜線を伝い前岳へ向かいます、悪沢岳の前岳は赤石岳方面ではなく高山裏避難小屋方面

つまり塩見岳へと続くルート側にあります、

そのため分岐に荷物をデポして向かう人が多い場所です。


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午前11時00分、荒川前岳。

まだ正午前だというのに、今日来たかったところにすべて来れてしまいました。

荒川前岳は3つのピークでは最も標高が引いです、トイレ岳よりもわずかに高い。 

 

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前岳の特徴は赤石方面、南側の斜面がえぐれて山中の黒い岩場が露出していること。

悪沢岳や中岳とは若干違った景観を見ることができます。

この大崩落は赤石岳から見ても結構特徴的な記号でした。

 

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高山裏避難小屋、そして小河内岳避難小屋から三伏峠を越えて塩見岳へ向かうルート。

南アルプスの森林限界を超えた穏やかな稜線歩きは本当に楽しいです。

ただ、樹林帯は本当に勘弁してほしい限りです。 

 

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岩が積み重なる稜線の道を振り返り中岳へ戻りましょう。

荒涼とした稜線歩きは開放感があって楽しいですね。

 

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午前11時15分、荒川中岳。

中岳避難小屋の真裏というか少し上ったところにある中岳。

こちら赤石岳の眺望が良く、朝焼けで赤く染まる赤石岳を撮影するにはいい場所です。

 

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三角点にタッチしておきましょう、今日の宿は中岳。

「今日一日、お前さんにお世話になるぜ……っ!」

 

6.中岳の夕日、暮れる悪沢岳の一日

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積乱雲が沸き立つ午後、中岳避難小屋で仮眠から目を覚ましたました。

小屋に戻ってもだれもおらず、一人で二階を占有して昼寝が出来て最高でした。

千枚岳から中岳避難小屋ってかなり贅沢なコース取りですが、

実際疲労が少なくて、翌日の元気も取り戻せるのでお勧めしたいです。

 

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寝ている間に外で服を干させていただきました。

服が乾ききるくらいにトレランの方々が通り過ぎるくらい、本当に静かな山だ……。 

 

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さてここで山にいる間、汗をかいたら不快感がすごくて寝るに寝れないというあなた!

このRedsugarがとっておきの汗拭き法をお教えしましょう!!

方法は簡単、コッヘルのご飯に使わないほうでお湯を沸かして、

汗拭き用の手ぬぐいを茹でます!

 

そしていい感じに茹で上がった手ぬぐいを軽く絞ってそれで何度も全身を拭きましょう!

コッヘルのお水が汚れるので、一回取り換えてまたお湯にして体を拭う……。

いわゆる森鴎外式体拭うお風呂です。

お湯で体を拭っているのでかなり気持ちが良く、その後の爽快感も段違い。

寝つきも非常に良くなるので汗を多量にかいてしまった時には是非お試しください!

 

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午後2時10分、中岳避難小屋休憩。

多量の汗をぬぐい、再び夕方まで仮眠することとします。

ふと避難小屋の壁を見るとこの小屋が日本アルプスで

三番目に高い場所にある小屋であるということが判明する、結構レアな小屋じゃないですか。

 

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中岳避難小屋の内装はご覧のようなカーペット張り。

左右の個室的なところに敷布団を強いて、そこに毛布をもっていって寝ます。

敷布団は幸いなことによく乾いていて、毛布も乾燥しきっていたので気持ちよく寝れました。

 

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日が暮れてきた夕方、外に出てみればトイレ岳周辺には雲がもくもくと湧き上がっていました。

 

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さすがに標高3,000mの稜線。

夕方になれば寒くなります、夏場にストーブが恋しくなるなんて……。

山の上は夏でも夜になれば氷点下に近いくらい気温が下がるので油断は禁物です。

 

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今日の夕食はカレー、基本軽量化で小屋でご飯を食べれるときはすべて小屋のご飯を利用。

インスタントだけどおいしい、カレーを食べた後に行動食のカロリーメイトを食べて

おなかを満杯にして外に繰り出します。

 

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すっかり太陽が傾いた夕暮れ。

山にまとわりつく雲の隙間からきれいな青空がのぞいています。

外に出てみれば初日に中岳避難小屋を目指した健脚の猛者たちが談笑中。

 

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悪沢岳本体は雲に包まれたり、顔をのぞかせたりと忙しい様子です。

 

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午後6時25分、中岳からサンセットビュー。

悪沢岳に対して中岳は雲がかかっておらず、夕暮れを見るにはちょうどいい状況。

中岳の山頂から夕日を楽しませてもらうことにしました。

 

中岳避難小屋から山頂までは数分、とてもありがたいですね。


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発達した雲が複雑な表情を見せる夏の南アルプス。

雲の隙間から差す太陽の光が神々しい景色を作り出していました。

山の上だからこそ見れる夕暮れの景色かもしんない……。


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悪沢岳夕暮れサンセットショータイムです。

ひっきりなしに表情を変える雲を眺めているだけでどんどん時間が過ぎていく。

 

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前岳方面は湧き上がるガスが雲に包まれた斜面と、晴れ渡った斜面を切り分ける。

荒川小屋に宿泊しているとこの時間帯はガスってたんじゃないだろうか?

中岳避難小屋に泊まっていいことはこうして夕焼けの素晴らしい景色を見れることです。

 

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複雑な雲の形状とそこから顔をのぞかせる太陽はまるでロマン主義の絵画のような

ヒロイックな光景を作り出します。

なんか、教会の壁に描かれていてもおかしくないような雲の陰影にただただ驚くばかり。


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暮れてゆく日の光は最後、神の降臨か最後の審判か、

雲を金色に染め上げてゆっくりと地平線へと落ちてゆくのです。

南アルプスの山肌に濃い薄明光線が落ちて、さながら天使のはしごといった感じでした。


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太陽は雲の向こうへと落ち、残されたのは陰影豊かな神々しい雲の景色でした。


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こうして前景に山頂碑を入れると、後ろで大爆発が起こったような感じでシュールです。

後ろの壮大な景色と手前の景色のつり合いがとれていません。

 

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日が沈んだことを確認して、中岳避難小屋へと戻り翌日の登山に備えることにしましょう。

明日はいよいよ赤石岳、目標地点は赤石岳避難小屋です。

前半でも話した通り、この時点では明日の赤石岳避難小屋の宿泊者数が100人を超え

赤石小屋まで降りてほしいという無慈悲な宣告をされるなど夢にも思っていません。

淡い希望だけを胸に、床へと入るのでした……。

 

7.まとめ

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悪沢岳は南アルプスの北部と南部を見渡す展望台

千枚岳から中岳避難小屋までという登山の距離としてはかなり短くなってしまった二日目。

ですが悪沢岳の景色を普通の登山よりもずいぶんと味わえたのではないかなと思います。

千枚岳から見る朝焼けは格別で、とても思い出深い景色として脳裏に焼き付いています。

 

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赤石岳と悪沢岳をつなぐ花畑

悪沢岳のビュースポットは山頂や千枚岳の景色だけではなく

中岳を越えた先にある赤石岳の眺望、そして壮大な花畑……。

目の前に赤石岳を見据えた黄色い花の絨毯は一見の価値があります。

 

夏は確かに暑くてキツイ南アルプス南部、ですがその山の上には確かな景色がありました。

 

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次回、三日目は悪沢岳を出発し南アルプス南部の中心地【赤石岳】へ登頂します。

悪沢岳の花畑を越え、大聖寺平を越えて登る赤石岳。

 

南アルプス南部のスケールの大きい登山道と、

スケールの大きい景色に感嘆の言葉しか出ない三日目となりますので、

ぜひご覧いただければ幸いです。

 

人生最高の山は続く。

 

 

南アルプス南部の情報と悪沢岳の地図はこちらの書籍がお勧め

アルペンガイド10 南アルプス (ヤマケイ・アルペンガイド)

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アルペンガイドは本当に頼りになります、まずはこれを読んでコースの知識をインプット!

 

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僕はごみをまとめてジップロックに入れて消臭袋の代わりとして使用したりします。

 

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